サンタ通信No291(10)表 R5.10.18発行

すっかり季節は秋に

 ベッドの布団を綿毛布から羽毛布団に変えました。今年は夜が暑くて綿毛布もいらないくらいでしたが,朝は綿毛布で肌寒く感じるようになり,薄い羽毛布団にしました。夏から秋へと季節は確実に変わってきています。新型コロナ感染症も落ち着いてきて,国の対策はコロナを特別視せずに,インフルエンザと同等の病気と考えましょうという方針に変わってきています。重症化しやすい高齢者に対しては,ワクチンでの予防と感染初期に薬剤治療を勧めていますが,小児科領域ではほとんど重症化することはなく,解熱剤の処方だけですむことがほとんどです。今年は夏からインフルエンザが流行して,コロナとの同時流行が心配されましたが,医療崩壊するような大きな流行にならずにすんでいます。

 さて,最近1週間(10月11日~10月17日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,インフルエンザA型で週7人でした。次いで,咽頭結膜熱2人,感染性胃腸炎1人,手足口病1人でした。全体的に感染症の流行は落ち着いています。インフルエンザはいつもは12月から2月頃に流行のピークを迎えますが,今年は夏から流行が始まり,だらだらと中規模の流行が続いています。コロナで感染予防に必死になっていた頃は,インフルエンザは全く流行しませんでした。普通の生活に戻った途端に,2年間流行しなかった分が押し寄せてきている感じです。これから冬を迎えることを考えると,今シーズンは大きな流行になりそうで,小児科の外来診療がパンクしないか,心配しています。新型コロナウイルス感染症はこの週は0人でした。発熱で受診されても,コロナの検査を希望されない人も多く,特別な病気という印象はなくなってきました。特効薬も小児ではまず使いませんし,解熱剤を適宜使うだけですので,コロナと診断されないまま,カゼで済まされているお子さんも多いのかもしれません。咳が強いRSウイルス感染症やヒトメタニューモウイルス感染症も少ないです。アデノウイルス感染症は時々診ます。全国的にアデノウイルスは流行がみられていますので,目やにが出て,熱が続く時はアデノウイルスの可能性が高くなります。アデノウイルスも治療は特になく,解熱剤などの対症療法になります。感染力が強く,アルコール消毒に対しても抵抗性がありますので,アデノウイルス感染症の家族は,患者さんに触れた時などしっかり流水で手を洗うようにしましょう。

 

10月22日は休診です。

11月5日と12日は休診です。11月20日午後~24日は休診です。

12月10日と24日は休診です。年末年始の休みは12月29日〜1月8日となります。

サンタ通信No291(10)裏 R5.10.18発行

アデノウイルス感染症

 全国的にアデノウイルス感染症が警戒基準を超えて流行しているというニュースがありました。過去10年間で最多の報告数で,福岡,大阪,沖縄などで多くなっています。アデノウイルスが原因の病気は,プール熱という病名がよく知られています。昔,プールで流行していたからですが,現在はプールの水は消毒されていて,アデノウイルスの感染は心配ありません。ただし,タオルを共有したり,ビート板を共有したりすると,それらを介して感染することはあります。

 アデノウイルスは50種類以上の血清型があります。それぞれの型で症状が大きく変わるので,同じアデノウイルスの診断をされても,気管支炎や肺炎を起こすこともあれば,咽頭結膜熱という高熱と喉の炎症,結膜炎の合併がみられるタイプもあります。また,はやり目と呼ばれる流行性角結膜炎は目の充血と目やにが主症状です。出血性膀胱炎を起こす型もあり,排尿痛や血尿がみられます。胃腸炎を起こすタイプもあります。このようにアデノウイルスは様々な病状を引き起こします。アデノウイルスにかかったことがある人でも,別の型のアデノウイルスにはまた感染します。ちょうどインフルエンザのA香港型にかかった人が,Aソ連型,B型とひと冬に3回かかるのと似ています。

 アデノウイルスの感染力は強く,患者さんが触ったドアノブなどで1週間以上生存するくらいです。患者さんの家庭では,接触感染を防ぐために,よく触れる所をアルコール消毒したり,タオルの共有を避けたりしてください。治療は対症療法で軽快するのを待ちます。登園・登校の目安は,発熱,結膜炎などの主要な症状が治まった後,2日を経過するまで出席停止になります。

ハゼに近づくのは難しい

 ダイビングで写真を撮るのは,綺麗なサンゴ礁に群がるキンギョハナダイなどが定番ですが,魚を主体に写真を撮る時には,ハゼが面白いです。ハゼはエビと共生していて,巣穴をエビが掘ってくれて,代わりにハゼが巣穴の見張り番をしてくれます。エビとハゼを近くで撮影すると,面白い写真が撮れるので,ダイバーの間ではハゼは人気のある被写体なのです。まず最初にハゼを見つけたら,それ以上近づかず,ハゼを警戒させないように,海底に這いつくばります。少しでもハゼに危険を感じさせたら,ハゼはエビに信号を送りながら,ハゼ自身もすっと穴に引っ込んでしまい,しばらくは出てきません。そのため,ハゼを見つけたら,まずは近づかずに低い姿勢で自分の呼吸を整えます。そこからちょっとずつ前進してハゼに近づいていくのですが,ちょっと近づくと,ハゼも警戒して穴の方に近寄ります。その時はじっと我慢して待つと,ハゼも少し警戒を緩めます。そしたらこちらが少し前進してという,人間とハゼの駆け引きがあるのです。ハゼを撮影するのには時間がかかります。他のダイバーがいる時には,個人行動ができませんので,少し時間を短縮して近づき,逃げられるパターンが多いのですが,たまに客が私一人の時は,時間をかけてハゼと対面できます。珍しいヤシャハゼやヒレナガネジリンボウなどに時間をかけながら,駆け引きがうまくいって,綺麗な写真が撮れた時は,最高の気分です。反対に写真が撮れる距離まで詰めて,いよいよ撮るぞという時に巣穴に消えてしまった時は,無念さでいっぱいになります。前回のダイビングでは,ヤシャハゼ,ヒレナガネジリンボウ,ダンダラダテハゼ,ヤノダテハゼ,オニハゼなど1時間でたくさん出会い,楽しいダイビングになりました。

 パラオには有名なダイビングポイントとして,海中の崖に体を固定して,激流の中のサメやギンガメアジ,バラクーダなどを撮影できるブルーコーナーというポイントがあります。ほとんどのお客さんが崖の外の魚の群れに魅了されている時に,一人だけ崖の内側でハゼを撮影している人がいました。その時は変わった人だなと思っていたのですが,今はその人の気持ちが分かるような気がします。