サンタ通信No288(07)表 R5.07.18発行

夏が来ました!

 暑い日が続いています。鹿児島市も気温35℃まで上がり,猛暑日になる日がありました。7月17日海の日は当番医を担当しました。鹿児島市内に2軒の小児科が当番医として割り当てられ,連休中ということもあり,受診される方が多いだろうなと思っていました。9時から診療開始ですが,8時には駐車場が一杯になっていて,8時半から診療を始めました。病院の電話は鳴り続け,午前中にもう1軒の当番医から診療できないと断られた患者さんからの電話が多くなりました。当院でも来院されてから5時間待ち,6時間待ちの状態になり,患者さんは一旦帰宅してもらい,診療時間近くになって再度来院していただく形をとりましたが,さすがにこのままだと夜中までかかりそうだと判断して,夕方からは当院での診察も困難だと患者さんへ電話で答えることにしました。夜10時半まで休みなしで働き,終わると同時に私はぐったりしていました。来院患者数は162人で,そのうちインフルエンザが56人,新型コロナ感染症が12人,その他の感染症も多く,気を遣う場面ばかりで,緊張しながらの診療は大変でした。最後は薬局でインフルエンザの治療薬イナビルの在庫がなくなるほどでした。

 さて,最近1週間(7月3日~7月9日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのはインフルエンザA型48人でした。次いで,ヘルパンギーナ16人,新型コロナウイルス感染症7人,手足口病4人,感染性胃腸炎2人,溶連菌感染症1人,RSウイルス感染症1人でした。インフルエンザの流行が続いています。インフルエンザウイルスの生存時間は低温と乾燥の好条件があれば,数時間の生存が少し長めになります。そのため,低温と乾燥する冬場に流行しやすいのです。夏場は高温,多湿の環境ですので,ウイルスが生存するには不適な条件なのですが,ウイルスの生存時間が短くても,それ以上に感染しやすい人が多ければ,次から次へと感染を繰り返して,流行を広げていきます。インフルエンザに対して免疫がない人がまだまだいますので,しばらくは流行が続くと思われます。夏休みで一時少なくなるかもしれませんが,秋から冬にまたインフルエンザのシーズンが始まりますので,夏以降も流行に注意が必要ですね。ヘルパンギーナについては,この時期に流行する病気ですが,一時期の患者数が多い時と比べ,少し減ってきた印象がありますが,夏カゼの代表ですし,あと1か月くらいは流行状況に注意が必要です。

 お盆休みは8月14〜22日が休診です。

 9月3日(日)は当番医を担当します。救急患者さんが優先です。

 9月25〜27日は休診となります。

サンタ通信No288(07)裏 R5.07.18発行

観光業は人手不足

 暑い日が続いていますが,7月中旬に3日ほどお休みをいただいて,知床の羅臼に行ってきました。昨年のゴールデンウィークは知床への旅行で楽しんだのですが,知床観光船の事故と同じ時期だったため,私の乗る船は運行自粛して,知床は入口だけを少し歩き,知床五湖の一つを見ただけでした。今回,知床半島の反対側の羅臼に宿をとり,ホエールウォッチングのクルーズを予約しました。波も穏やかで,マッコウクジラをすぐ近くで見ることができました。観光客も多く,泊まったホテルは満室。クルーズもほぼ満員の人を乗せていました。羅臼と国後島の距離は20kmくらいで,国後島をくっきり見ることができます。クルーズ中も日露境界線の近くまで船を走らせ,鯨を探します。2時間半のクルーズで5頭くらいのマッコウクジラを見ることができました。この鯨は息を整えて,垂直に潜っていくので,最後はイチョウの葉に似た尾びれをはっきり見ることができます。ザトウクジラのブリーチングも素敵ですが,マッコウクジラの潜水開始もなかなか素敵でした。

 旅行しながら気になることは,宿で働く外国人が多くなったことです。ホテルスタッフは,朝早くから夜遅くまで忙しく動き回っています。若い人が敬遠しがちなハードな仕事です。私が泊まった羅臼のホテルでも,日本人がいたのは,チェックインからディナー終了の時間だけで,朝食時間はネパールの人が食事を準備していて,チェックアウトの時も,お金を払わずにすむように,食事で頼んだ飲み物代は食後に毎回支払っていました。鹿児島のホテルでも外国人のスタッフをよく見かけます。若い人が少なくなっていく日本ですから,海外の労働力をどんどん入れることは必要だと思います。外国人が多くなると,治安が悪くなるという意見もありますが,私が見てきた外国人のスタッフは,真面目に働いています。宗教や文化の違いは仕方のないことで,日本人が少しずつ慣れていくしかないと思います。また,海外から来た若い人たちが,高齢化の進む日本の将来を救ってくれるかもしれません。労働力だけではなく,経済も支えてくれますし,観光業だけでなく,医療福祉分野でも海外からきた人たちに助けられているのが現状です。

鹿児島市の小児科医療

 小児科医が少ないということは,以前から言われてきました。小児科は忙しい割にあまり儲からないということで,若い医師が小児科を希望しないためです。さらに少子化が急速に進んできて,対象となる患者数も減ってくるので,小児科医になる人はもっと少なくなりそうです。時間外の診療をする夜間急病センターも出向する人が少なく,なかなか勤務予定表を作れない状況です。休日の当番医は日曜日に1軒割り当てられ,さらに当院が当番医と同じ体制で診療しているのに加え,午前中だけ診療する小児科が2軒あり,合わせると3軒分の診療体制になります。祝日はどこも診療していないため,当番医が2軒組まれています。ですから祝日の方が1軒あたりの負担が重くなります。

 当院が日曜日に当番医になると,他には午前中だけ診療の2軒しかなく,合わせると2軒分の診療体制になり,祝日と同じ負担になってしまうので,当院の当番医は,日曜日に当たっても,祝日に当たっても,受診を希望される患者さんの半数を毎回受け持つことになります。若い時には無理をしても働けていたのが,70歳近くになると日曜診療の負担が重く感じるようになってきました。日曜当番医からもう診れないので,サンタへ行くように言われましたと患者さんから聞くと,サンタが日曜日に当番医と同じ負担をしているのがあまり理解されていないのだと感じます。当番医でも医師が1人の所もあれば,2人体制を取れる所もあり,診察できる患者数は倍になるので,医師1人で診る患者数を150人までにするような当番医体制にできればいいのにと思っています。