サンタ通信No282(01)表 R5.01.18発行

今年はどんな年になるのでしょう

 新たな年が始まりました。今年は,コロナ前の生活に少し近づくような気がします。すでに多くの方がコロナに感染し,その経験からコロナに対してどのように警戒すべきか,感染を防ぎながら日常生活を保つにはどうするべきか,かなり解ってきたと思います。重症化した時に対処できる医療体制を壊さないように,軽症の人は自宅で解熱剤を使いながら様子をみることで,医療機関の負担は軽くなります。

 さて,最近1週間(1月11日〜1月17日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは新型コロナ15人でした。次いで,インフルエンザA型12人,感染性胃腸炎3人,突発性発疹1人でした。今年から新型コロナの患者数も提示するようにしました。発熱した時にコロナを疑うべきか,インフルエンザを疑うべきか,その時々でどちらの可能性が高いのかは,医療現場でとても重要なことです。そのため,この地域で何がどれだけ流行しているのか私はいつも気を配っています。この通信を読んでくださっている方にも,この感染症情報は重要だろうと思われますので,コロナ患者数も併せて載せるようにします。インフルエンザが年末から少しずつみられるようになり,1月2日に当院で当番医を担当しましたが,この時にインフルエンザA型を8人診断しました。コロナが第8波で多くなったこの時期に,インフルエンザも同時流行してきました。コロナ以前の小児科では1日で数十人,1週間で100人を超えるインフルエンザの流行が普通にありましたので,現在の流行はまだまだ小さな規模ですが,コロナで行動制限していた時は全く流行しなかったことを考えると,人の行動範囲が広がり,国際的な人の移動も増えてきたために,感染症が増えてきているのです。当院では発熱した患者さんに,コロナとインフルエンザの両方を検査することが多いです。もちろん家族にコロナかインフルエンザの人がいたら,それだけを検査します。数年ぶりにインフルエンザが流行しているために,インフルエンザの検査キットが不足気味です。注文しても必要な数を購入できません。キットがなくなり,検査できない時は,コロナだけを検査して陰性なら,おそらくインフルエンザかもと不確実な診断になる可能性があります。しかし,コロナでもインフルエンザでも,水分や食事をしっかり摂りながら,自然に軽快するのを待つことができます。熱が高くて水分があまり摂れない時は,解熱剤を使い,熱が下がった時に水分や食事を摂らせるようにしましょう。

2月10日〜14日は休診となります。2月23日(木)天皇誕生日は当番医を担当します。3月19日(日)も当番医を担当します。

サンタ通信No282(01)裏 R5.01.18発行

4月から変わる予防接種の話

 赤ちゃんが最初に受ける予防接種は,生後2カ月から受けられるヒブ,肺炎球菌,B型肝炎,ロタのワクチンです。4種混合ワクチン(百日咳,ジフテリア,破傷風,ポリオ)は生後3か月からになっていますので,1か月遅れて接種していました。この4種混合ワクチンを今年4月から,生後2カ月で受けられるようになります。1か月早めても安全性に問題はなく,アメリカでは2か月から接種しています。1か月早めることで,百日咳が重症化しやすい乳児の患者を,1年当たり100人ほど減らすことが期待できると言われています。4月から生後2か月の赤ちゃんにロタワクチンを内服させて,4種混合,ヒブ,肺炎球菌,B型肝炎の4つを注射します。ワクチンによる副反応は,発熱や接種部位の腫れですが,反応が強いのは肺炎球菌ワクチンなので,4種混合を1か月早めてもそれほど心配はいらないと思います。

 次に変わるのは,子宮頸がんワクチンです。現在,サーバリックス(2価ワクチン),ガーダシル(4価ワクチン)の2種類のワクチンを接種しています。どちらも子宮頸がんの原因であるヒトパピローマウイルス16型と18型に対して有効です。この2種類の型が子宮頸がんの50〜70%を占めますので,このワクチンを接種すると,子宮頸がんを50〜70%は予防できるというわけです。4価ワクチンは16型と18型以外に良性の病気である尖圭コンジローマの原因となる6型と11型にも効果があるように作られています。4月から新たに加わるのは,日本で2021年に販売開始されたシルガード9という9価ワクチンです。これまでのワクチンで効果がある6,11,16,18型に加えて,31,33,45,52,58型に対しても感染予防の効果があります。サーバリックスやガーダシルが子宮頸がんの予防効果50〜70%であるのに対して,シルガード9は約90%の予防効果をもつことが期待できます。これまで2価や4価のワクチンを受けた人で,接種が残っている場合は,9価に変更することはできません。最初に始めたワクチンで3回目まで受けます。日本では,3回接種が認可されていますが,海外では9価ワクチンを2回接種することが一般的です。日本でも2回接種が検討されていますが,とりあえずは3回接種で始めるようです。また,新しい情報があればお知らせします。ただし,9価ワクチンも子宮頸がんを100%予防することはできませんので,子宮頸がんの検診を受けることは大切です。

マスクなしの生活

 昨年末にベトナムのホーチミンへ旅行しました。行動制限がなく,私自身も昨年コロナに罹患して,免疫ができている状態でしたから,旅行にあまり不安はありませんでした。往復の飛行機やバスの中ではしっかりマスクをしていましたが,ホーチミンに到着してみたら,現地の人でマスクを着けている人はだれもいません。街中でもホテルでも皆,マスクなしでした。私たちも現地ではずっとマスクなしで過ごしました。帰国の時に現地空港でマスクが必要になりました。

 日本政府もマスクなしで良い場面として,屋外で距離がとれる時は,会話の時でもマスクは不要としています。屋内でも会話がない時に,適度な距離を保てる場合はマスクなしでよいとコメントを出しています。感染リスクが極めて低い場面で,過剰なマスク着用を控えるように呼びかけていますが,国民はまだまだ世間の目を気にして,外を歩く時でもマスクをしています。欧米ではオミクロン株が主流となった昨年以降,一気に脱マスクが進んでいます。マスクは発熱や咳などの症状がある時は,感染予防の対策として有効ですが,感染リスクの低い時はマスクなしで良いのではと考えています。高齢者や基礎疾患のある人は,自身を守るために,マスクで予防することは大事です。重症化しにくいオミクロン株でも,高齢者にとっては命にかかわります。周囲の人もそれを考えて,高齢者と接する可能性が高い時や,場所などでは,マスクを着けた方が良いでしょうし,高齢者の福祉施設で働く人がまわりにいる時も感染防御に気配りをしてあげたいものです。