サンタ通信No294(01)表 R6.01.18発行

あけましておめでとうございます

 皆様,どのようなお正月を迎えましたか?私は南インドで迎えました。3年前に行く予定で,インドへの飛行機のチケットを取ったものの,新型コロナ感染症が世界中に蔓延したため,インドへの飛行機は飛ぶこともなく,幻の南インド旅行になっていました。虚しくて,2021年にブログで幻の南インド旅について書きました。それから3年経って,ようやく南インドを訪れることができました。飛行機は鹿児島→羽田→デリーの往復を自分で取り,その日程に合わせてインド国内線のチケットやホテルの予約,車の手配などを現地の知人にお願いして,楽しい10日間になりました。

 さて,最近1週間(1月9日~1月15日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,インフルエンザで週9人でした。その他は,新型コロナ感染症5人,咽頭結膜熱4人,感染性胃腸炎4人,手足口病1人,突発性発疹1人,溶連菌感染症1人でした。インフルエンザとコロナがまだ流行中ですが,数は少なくなっています。インフルエンザはB型が流行してきましたので,注意が必要です。アデノウイルス感染症は昨年から流行がみられており,全国で検査キットが品不足になりました。兄弟例などは検査せずに診断となりそうです。現在流行中の感染症で治療薬が必要なものは,溶連菌感染症だけです。他の感染症は,自然治癒を待つことができます。ただ,全身状態を改善させるために解熱剤を使ったり,脱水にならないように鎮吐剤を使うなど,対症療法の薬は必要になります。また,年齢や基礎疾患の有無により,積極的に治療薬を使う場合があります。例えば,インフルエンザと診断されたら,タミフルやイナビルなどのウイルス増殖を抑える薬を使用すれば,すぐに解熱して,非常に軽くて済みます。それ自体は嬉しいことですから,ほとんどの人が治療薬を希望されます。しかし,軽く済むということは,免疫が十分にできないということですから,次回に感染の機会があれば,また罹ってしまいます。治療薬を使わない場合は,高熱が4日間くらい続き,抗体が十分に上がり,しばらくはインフルエンザに罹らずに済みます。では,全員治療薬を使わない方が良いのかというと,新生児や乳児,基礎疾患のある方は,熱が続くことで全身状態が悪くなる可能性が高いので,治療薬を勧めています。治療内容には家族の同意が必要です。治療に関して「こうして欲しい」という希望があれば,遠慮せずにお知らせください。皆が納得できる治療をしたいといつも思っています。

 

1月28日は当番医。1月21日は休診。1月29日は午後休診。

2月4,18日は休診。

3月10日,17日,18日は休診。3月24日は当番医です。

 

サンタ通信No294(01)裏 R6.01.18発行

ベジタリアンと1週間を過ごしたら

 インドの旅で一緒にガイドをしてくれるSinghさんはベジタリアンで,肉,魚,卵などの動物性蛋白を摂りません。そのため,日本のインド料理店でよく出されるナンは食べません。ナンは小麦粉に牛乳や砂糖,卵などを混ぜてこね,発酵させてから焼き上げています。しかもタンドール釜で焼き上げるため,インドでは宮廷料理で出される高級食材になります。代わりにインドで一般的に食べられているのはチャパティという全粒粉に水,塩を混ぜてこね,薄く延ばして鉄板で焼いたものです。卵を混ぜ込んだナンは食べられないので,毎食チャパティを1〜2枚に好きなカレーを1〜2種類選んで食べるだけです。朝も昼も夜もほとんど同じ食事でした。夜に一緒にテーブルに着くと,ワインを1杯だけ飲みます。パパドというおせんべいのようなものをつまみにします。豪華なホテルのビュッフェの場でも,いつもの食事以外のものには見向きもしません。日本人があれもこれもと,いつも食べられない食事があると,たくさん食べてしまうのと対照的でした。Singhさんはヨガも実践していて,自分の体をしっかりコントロールするには,食事の管理が大切だと知っているからです。

 この旅行中は,私もベジタリアンを実践しました。インドの食事では,全てにベジとノンベジのマークが付けられています。ベジタリアン用は緑のマーク,ノンベジは赤のマークです。ですから緑のマークだけを食べていました。国内線の機内食も両方揃えている場合もあれば,ベジ用のものだけの時もあります。とりあえず,ベジ用があれば,全員食べられるわけですから,ベジ用が利用価値は高いのです。インドの料理は香辛料をたっぷり使います。家内が旅の4日目に腹痛と嘔吐の症状があり,旅の継続が危ぶまれましたが,Singhさんが小さな町の薬局で薬を買ってくれました。インドでは病院を受診できるのは,お金持ちの人だけです。多くの人は保険もなく,病院にかかると大金が必要になるため,何か症状が出た時は薬局に行き,症状に合った薬を調合してもらうのが一般的です。家内の場合も,腹痛と嘔吐から出された薬は,Rabesec-D SRカプセルとDIGENEのタブレットでした。逆流性食道炎の薬と消化を促進させる薬で,何も食べられない状態から2〜3日で元に戻りました。さすがインドの薬です。

 ベジタリアンの人は命を大切にするため,動物性の蛋白を摂らないようにしているので,虫も殺しません。南インドの気温はこの時期でも最低で20℃,最高で30℃くらいです。緑が多く,水田も多いため,蚊が多く,あちこち刺されました。車で移動中も,ドアを開けると時々蚊が入り込みます。Singhさんとドライバーさんは,気がつくと窓を少し開けて,外に逃がそうとします。家内はいつものように手のひらでパチンと叩いていました。ベジタリアンの前では,蚊さえも殺すのは避けた方が良いと思いました。

 インドでは牛を食べません。インドの人は8割がヒンドゥー教徒です。ヒンドゥー教では,牛はシヴァ神の乗り物であるとされていて,神聖な動物として崇拝されています。そのため,牛を殺すことも食べることも禁忌となっています。しかし,南インドではヒンドゥー教徒の割合が減り,55%です。その他はイスラム教25%とキリスト教20%で,ヒンドゥー教徒以外は牛を食べます。このため,北インドでは道端を悠然と歩く牛がどこにでもいましたが,南インドでは牛を見かけませんでした。のんびり歩いていると捕まえられて,食べられるからかもしれませんね。ただ,牛の中でも水牛は神様の乗り物ではないため,ヒンドゥー教徒でも食べても良いようです。水牛は農作業に使われますし,水牛のミルクやバターもたくさん作られています。水牛バターは白くてあっさりした味で,色々なレストランでバターとして出されていました。

 3回目のインド旅も満足できる旅になりましたが,次回はインドヨガを体験できる旅にしてみたらとSinghさんが提案しています。北インドにあるヨガの聖地でヨガを体験して,その後は周りの宮殿ホテルに泊まれますと話していました。なかなか面白そうです。