サンタ通信No284(03)表 R5.03.18発行

日本でもマスクなしの生活が

 3月13日から屋内外を問わず,マスクの着用を個人が判断することになりました。海外では,多くの国がマスクなしで普通の生活を送っています。新型コロナウイルス感染症はオミクロン株に代わって以降,病原性が弱くなり,季節性インフルエンザと同等くらいと考えられています。そのため,感染症法第2類相当とされていた新型コロナを5月からインフルエンザと同じ5類に引き下げ,強制入院や自宅隔離などは必要なくなります。各個人が発熱した時に,医療機関を受診したり,市販の検査キットで調べたり,何もせずに解熱剤を服用して様子をみることも自由にできます。ただ,ウイルスの感染力が弱くなったわけではありませんので,新型コロナにかかった時は,1週間は人に感染させてしまいます。外出自粛などはなくなりますが,必要な外出だけにして,自主的にマスクで飛沫感染をしっかり防がなければなりません。濃厚接触者の扱いもなくなりますので,家族にコロナ患者が発生しても,自宅隔離にはならずにすみます。もちろん,発熱や咳などの症状があれば,検査で診断することは大事です。

 さて,最近1週間(3月6日〜3月12日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのはインフルエンザA型で週14人でした。次いで,感染性胃腸炎7人,溶連菌感染症3人,突発性発疹1人でした。新型コロナウイルス感染症はこの週はいませんでした。子どもの感染症については,少しずつコロナ以前に戻りつつあると感じています。人の移動が多くなり,食事や飲み方などのイベントが多くなってきていますので,それに伴い,感染機会が増えてきたのだと思います。さらにここ3年間病気から遠ざかっていた子どもたちには免疫が少ないので,マスクなしの生活では感染症が大流行してしまう可能性があり,少しずつマスクなしの生活を始めていくことが大事だと思います。ここ2年間ほとんど診なかった溶連菌感染症が増えてきています。おそらく,手足口病やヘルパンギーナもある程度の流行をしていくのではと私は予想しています。新型コロナウイルス感染症は第8波が収束しつつあり,次の波がいつ来るのか,変異株の持つ病原性が強くならないのか,様々な心配はありますが,今は命にかかわる高齢者や基礎疾患を持つ人たちに,感染させないように配慮することが一番だと考えます。その上で,コロナ禍以前の社会生活に戻すことも重要です。

 3月19日(日)は当番医を担当します。

 4月15日(土)と5月25日(木)は学会のため休診となります。

 ゴールデンウィークは4月28日〜5月5日が休みになります。

 5月3日は当番医を担当します。

サンタ通信No284(03)裏 R5.03.18発行

平和の尊さを考える

 日本は第二次世界大戦で悲惨な敗戦を経験し,終戦時には長崎と広島に原爆を落とされた経験をもっているため,憲法の平和主義が国の方針になっています。憲法第9条で「日本国民は,正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し,国権の発動たる戦争と,武力による威嚇又は武力の行使は,国際紛争を解決する手段としては,永久にこれを放棄する」と決められています。その憲法の下で,他の国と武力で戦う力を持たずに,アメリカに安全保障を依存する形で,日本は平和な世の中を作ってきました。自衛権だけは認められ,自衛隊が組織されていますが,世界中は軍備拡張に走り,自国の体制を守るために,強い武器を求めています。

 ロシアがウクライナと戦争を繰り返してきました。北朝鮮はミサイルや核爆弾を誇示してアメリカと対等な立場になろうとしています。中国は共産主義を守るため,アメリカと覇権争いしています。それぞれの国の立場が違うと,ちょっとしたきっかけで戦争になってしまうことが分かります。そんな国どうしの話し合いの場が国際連合ですが,国連の安全保障を担当する理事国の中で,拒否権という大きな力をもつ常任理事国は,中国・フランス・ロシア連邦・イギリス・アメリカの5カ国ですので,それぞれ自分の不利になる議案は拒否できます。今起こっている戦争も当事者である国が反対すれば,国連は何もできないままです。もっとすべての国が,平和のためにどう行動するべきか,解決策を探す努力を惜しまないようにすれば,世の中少しは良い方向に変わると思うのですが,日本はアメリカのご機嫌をとるばかりです。日本が経験した悲惨な戦争被害があったからこそ,平和憲法ができて戦後約78年間,戦争から遠い所で暮らすことができたのですから,日本人は世界から戦争をなくすために汗をかいて,いろいろな国と腹を割って話し合い,世界中の国から信頼されるような国になってほしいものです。

 アフガニスタンでの医療支援に参加していた中村哲医師が,アフガニスタンの大干ばつで多くの人が命を落とすのをみて,救えるのは医療ではなく,農業を立て直すことだと考え,専門外ではあるけど,用水路の建設を始めました。乾いた大地に25kmにも及ぶ用水路ができて,約10万人の農民が暮らしていける農地を生み出しました。アフガニスタンの戦争も,ロシアとアメリカの介入が影響しています。そこに住む人々がどうしたら暮らしていけるのかを考えて,中村先生が行った仕事は,本来ならば日本がすべき国際協力なのです。日本はお金は出すけど,その中で汗をかくことはあまりしません。そこにすむ人々からの信頼が広がり,それが国どうしの信頼になり,世界中から,日本はよその国の事を本当に考えてくれると感謝される存在になれるはずです。国際紛争が起こった時に,世界中から仲介役を日本に頼もうと思ってもらえるような国なること,それが日本の進む道なのかなと思います。