サンタ通信No277(08)表 R4.08.18発行

コロナ感染症7波ピークか?

 新型コロナ感染症の波がなかなか収まりません。感染力が強いオミクロン株の中でもBA5による第7波は,そろそろピークを迎えているのかなと感じますが,子ども達の感染が多く,子どもから家族へと広がるパターンになっています。コロナ陽性と判定された子ども達は,高熱は出るものの,数日で元気になっています。高熱のため,熱性けいれんを起こす子が少し多いようですし,まれに意識障害を伴う脳症の報告があります。これまで目立っていた嗅覚・味覚障害は少ないようです。

 感染した子どもに対して,特別な治療は必要ありませんが,高熱で水分摂取ができなくなった子どもには点滴などの処置が必要になります。当院は発熱外来の届けを出していないので,コロナ検査はできません。周囲にコロナ患者がいない場合は,発熱したお子さんの診察はしていますが,コロナが疑われる場合は診察も治療もできません。発熱外来を標榜している小児科でも,コロナの検査はできても,コロナと診断された患者に対して点滴などの処置ができる病院は市内にごくわずかです。対応するには,他の患者さんと完全に隔離した部屋での点滴が必要で,スタッフも完全防護のガウンやゴーグルなどが必要となるからです。

 さて,最近1週間(8月7日〜8月13日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,手足口病で週4人でした。次いで,感染性胃腸炎3人,突発性発疹1人,ヘルパンギーナ1人,RSウイルス感染症1人でした。コロナ感染予防を多くの方々が心がけていますので,子どもの感染症も流行は抑えられています。ただ,人の移動が多くなってきたせいで,インフルエンザの発生が時々報告されています。沖縄県では週33人と多くなっています。鹿児島県ではずっと発生していませんでしたが,この週に1人の感染が報告されています。コロナに対する行動抑制がない現状では,感染症が少しずつ増えてくるのではないかと思われます。マスク生活を続けている間は,以前のような流行にはならないはずですが,どんな感染症が周囲で発生しているのか,注意しておきましょう。鹿児島県ではRSウイルス感染症が少しずつ増えてきています。感染すると呼吸が苦しくなり,哺乳量が落ちてきます。特に,新生児や3カ月までの乳児は注意が必要です。呼吸が突然止まる,無呼吸発作を起こすことがあるからです。赤ちゃんには咳をする人を近づけないことが大事です。

 9月7日(水)は臨時休診となります。 9月11日(日)は当番医を担当します。かなりの混雑が予想されます。

サンタ通信No277(08)裏 R4.08.18発行

花の浮島で涼しい夏休み

 夏の暑さが堪える年齢になってきました。うだるような暑さを避けるため,8月初旬に夏休みを取らせていただき,北海道の礼文島に行ってきました。さすがに最北の島です。日中の気温が16℃くらいの日もあって,朝晩はサマーセーターを着ながら過ごしました。島の大きさは,南北29km,東西8kmの細長い小さな島です。「花の浮島」という別名があるくらい,お花畑の中を歩くトレッキングコースが島のあちこちにあります。花のシーズンは6月から8月で,私たちが行った8月初旬もあちこちの散策路で,多くの人を見かけました。家族連れや夫婦が多かったですが,若い女性が1人で歩く姿もよく見ました。この島は,ヒグマや毒ヘビなどの危険動物がいないし,コースがよく整備されていて,迷うことがないので,安心してトレッキングを楽しむことができます。鹿児島から羽田を経由して稚内まで飛行機を1回乗り換えるだけです。稚内からフェリーで2時間で礼文島に着きます。お天気にも恵まれ,花畑の中の散策を十分楽しんで,いよいよ帰るという時に,トラブル発生。

 飛行機出発の1時間前に稚内空港に到着したところ,フライト掲示板には「調整中」と表示されていました。羽田空港付近の雷雨により,発着便の欠航や遅延が多くなっていて,稚内に向かう便もまだ羽田空港を出発していないとのこと。1日1便しかないフライトのため,欠航になったら大変です。結局2時間遅れで稚内に飛行機が到着してくれました。すぐに折り返しの便で稚内空港を離陸し,雨の羽田空港に無事到着しました。この時間なら鹿児島へ乗り継ぐ便がまだありましたが,雷雨が通過するまで羽田空港は地上での作業を中止していますと案内されました。雷雨が通り過ぎるまで,結局,機内に2時間も閉じ込められてしまいました。ロビー内に入った時は最終便の時間もとうに過ぎていましたが,悪天候のため鹿児島への最終便も欠航になっていました。羽田空港は大混乱で,夜の10時というのに空港カウンターはお客さんで長蛇の列になっていました。どうにかホテルを確保し,4時間くらい仮眠して,朝6:45発の飛行機で鹿児島へ向かい,8時半に鹿児島空港に到着し,9時半に病院に着きました。すぐにコロナ抗原検査で陰性を確認した後,10時から診療を始めました。今回のトラブルは天候によるもので,避けようがありませんが,最小限のトラブルですんだので,ほっとしました。旅行では何が起こるか予測不能です。旅の翌日は診療予約を1時間くらい空けておいた方が安心だと反省しました。そんなトラブルがあっても,旅は楽しいものです。混雑を避けながら,レンタカーでのんびり旅行するというのは,コロナ渦での望ましい旅のあり方かなと思いました。

コロナワクチンの小児接種を推奨

 日本小児科学会は,8月10日に5歳から17歳への新型コロナウイルスワクチンについて接種を推奨すると発表しました。その理由について,オミクロン株の流行以降,脳症や心筋炎などで重症化する子どもが増えていることや,ワクチンの研究でオミクロン株を含めた変異ウイルスに対して,子どもでも重症化を防ぐ効果が40%〜80%あることが確認されたことを挙げています。また,安全性についても,12歳から17歳での心筋炎などを含む副反応の発生率は,若い成人と同程度であるほか,5歳から11歳では副反応は軽い傾向が確認され,接種の利益はリスクを大きく上回るとしています。