サンタ通信No274(05)表 R4.05.18発行

感染性胃腸炎がまだ流行中

 ゴールデンウィークが終わり,多くの人が連休を楽しんだようで,新型コロナの新規患者数が一時的に増えましたが,皆さん感染予防には留意したようで,緊急事態宣言や蔓延防止が必要になる事態は避けられました。さらに,海外旅行する人も少しずつ増えてきました。3回のワクチン接種が済んでいたら,海外も隔離なしで入国できる国が増え,日本へ帰国する場合もPCR検査が陰性なら,そのまま鹿児島まで帰って来れるようになりました。旅行社もハワイへのツアーなどを始めています。欧米では,マスク着用が撤廃されつつあります。ハワイでは屋内でもマスクが不要となりました。観光客がマスクなしでハワイを満喫できることは喜ばしいことですが,帰国時にもしコロナ陽性と判定されたら,自宅に戻れなくなるかもしれません。旅行でコロナの検査が不要になるまでは,現地ではマスクで自衛するしかないですね。

 さて,最近1週間(5月9日〜5月16日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは感染性胃腸炎で週8人でした。次いで,手足口病4人,溶連菌感染症1人でした。感染性胃腸炎は流行が続いています。大流行というわけではありませんが,小さな流行が持続している感じです。ノロウイルスやロタウイルス,アデノウイルスが主な原因です。家庭内や保育園などで,子どもの便や吐物に触れた時は,アルコール消毒に頼らずに,石鹸を使った流水での手洗いを心がけるようにしましょう。吐き気が強い時は,吐き気止めの座薬を使います。薬が効いて吐き気が治まってきたら,経口補水液を少量ずつ,頻回に飲ませます。その後,徐々にお粥やスープなどの流動食から普段の食事へと戻していきます。

 手足口病も大きな流行にならずにすんでいます。今流行しているタイプは,口の中の口内炎があまり目立たず,手足の発疹が強い印象があります。特に足の発疹はかさぶたができるような,大きい発疹になることが多いようです。発熱は出ないことが多く,出ても1日くらいで解熱します。治療薬は特にありません。元気があって,食事が普通に摂れるようなら,集団生活もできます。ただし,数週間は他の人に感染させる力がありますので,唾液や便などに触れないようにしましょう。マスク生活が浸透して,子どもの感染症が少ない状態が続いていますが,これらの感染症に対して免疫をもたない子ども達が増えてくると,マスクなしの生活に戻った時に子どもの感染症が一気に増えることが予想されます。マスク生活からの脱却には注意が必要です。

サンタ通信No274(05)裏 R4.05.18発行

複雑な思いの知床観光

 行動制限のないゴールデンウィークということで,行楽地はにぎわい,飛行機や列車の乗客数もコロナ前の状態に近くなってきました。私もゴールデンウィークに当番医が当たっていなかったので,4連休を取ることができ,北海道旅行に出かけました。北海道は冬のスキー旅行も含めると,10回くらい訪れたことがありますが,知床半島には行ったことがありません。知床の大自然を船で観光し,ヒグマに襲われないように高架木道を1時間くらい歩くコースが含まれている,魅力的な旅でしたので,数か月前から予約していました。ところが,出発の1週間前に知床遊覧船のKAZU I が遭難し,私たちが乗る予定だった観光船は,事故を起こした業者ではなかったのですが,事故の影響ですべての観光船が営業自粛してしまい,船での観光はできなくなりました。旅行の柱になっていた船での知床観光ができなくなり,旅行社からキャンセルされますかと問い合わせもありました。この事故で乗客・乗員26人が遭難し,半数の方がまだ見つからない状況で,知床に旅行するのは気が重かったのですが,他の旅行に変更もできず,そのまま旅行に出かけました。

 このツアーは,ワクチンを2回以上接種した人だけを対象にしていて,毎朝バスに乗る前に検温されます。もし発熱があれば,そのままバスに乗らずに旅行を取り止めることになっています。もちろん旅行中はマスク着用が強制されます。バスの車内は飲食禁止になっており,ホテルの食事会場もグループごとに間隔を十分に取って食事します。しっかりとした感染対策ができていると感じました。ただ,飛行機の混雑は大変なものがあり,復路の新千歳ー羽田便は大型の飛行機だったにもかかわらず,全312席が満席でした。久しぶりに混雑した飛行機に乗りました。私は飛行機・バスでの移動中は,不織布マスクとウレタンマスクの二重マスクを常にしていました。このように感染防御がしっかりできた旅行ならば,感染リスクはかなり抑えられると思われます。

 旅行2日目に知床観光があり,ウトロの港にも行きましたが,知床遊覧船の事務所前に10人くらいのマスコミ関係者が張り付いていて,物々しい感じでした。この日は海が穏やかで,捜索のために港を出入りする漁船を数隻見かけました。事故がなければ,自分たちもこの港から出航していたのだと思うと,切なくなりました。遭難された方々が早く発見されることを祈りながら,ウトロ港を後にしました。ウトロの先に知床五湖を巡るパークセンターがあり,知床連山を眺めながら,知床の自然の中を1.5km歩くことができます。観光船に乗れなかった観光客がこの遊歩道に集中していたようで,自家用車やレンタカーが駐車場へ長い列を作っていましたが,観光バスは優先して駐車場に入れてもらえました。私たちは時間に制限があったため,1時間くらいの高架木道での散策でしたが,時間が十分に取れる観光客向けには,地上の遊歩道コースもあります。ただし,このコースはヒグマに襲われる可能性があり,事前予約した上で,当日レクチャーを受けて,さらにネイチャーガイドが必ず同行しての散策になります。知床半島の反対側にある羅臼町からも観光船が出ており,こちらはゴールデンウィーク中もお客さんを乗せて出航していました。羅臼から出る船は主にホエールウォッチングが主体の観光船です。