サンタ通信No272(03)表 R4.03.18発行

花いっぱいの春が来た

 冬の寒さが一段落して,暖かい日が多くなりました。近くのハクモクレンが咲き始めたと思っていたら,あっという間に他の花たちも一斉に咲き始めました。ラッパスイセン,パンジー,ムスカリ,シンビジウムなど,我が家でも色とりどりに咲き誇っています。気温も上昇し,時には冷房が必要になるほどです。季節は駆け足で過ぎていきますね。新型コロナの流行がまだ落ち着いていないことや,ロシアとウクライナの戦争の痛ましいニュースなど,世間には重苦しい雰囲気が漂っており,自分たちの気持ちも沈んだり,憂鬱になったりしがちですが,自然は私たちの心を癒してくれます。心の平穏を保つには,自然を楽しむ目を持つことが大事です。私も冬の間はダイビングを休んでいましたが,春から海中散歩を楽しもうと考えています。山歩きも好きですので,休日にはいろいろなトレッキングコースに出かけたいと思っています。4月に日本小児科学会が福島で開催されます。私は福島へ出かけることを楽しみにしていましたが,新型コロナの影響で現地参加とWeb参加のハイブリッド開催が決まり,私は安全を優先してWeb参加することにしました。福島は行ったことがなかったので,是非とも現地参加したかったのですが,仕方ありません。

 さて,最近1週間(3月7日〜3月13日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは感染性胃腸炎14人でした。次いで,咽頭結膜熱1人でした。ロタウイルス・ノロウイルスなどの感染性胃腸炎の流行が続いています。この疾患は冬場が多いのですが,春先から初夏にかけても流行がみられることがあり,しばらくは流行が続くかもしれません。ウイルス性胃腸炎を予防するためには,日常生活の中での手洗いが大事です。トイレ後や食事前の手洗いを励行しましょう。コロナ対策のアルコール消毒では効き目が弱いため,流水での手洗いがお勧めです。

 咽頭結膜熱はそれほど流行はしていませんが,アデノウイルスによる高熱を主症状とする疾患で,のどの炎症がみられ,眼の充血や目やにを伴うことも多いです。当院で診断し

たお子さんは,採血で炎症の強さを示すCRPが19mg/dlと非常に高く,入院が必要と思われましたが,アデノウイルス感染症を疑い,検査で陽性が分かったので,入院せずにすみました。アデノウイルス感染症には特効薬はなく,解熱剤を使うなどの対症療法しかありません。

 

ゴールデンウィークのお休みは5月3日〜6日となります。

5月8日(日)は当番医です。救急患者優先になります。

サンタ通信No271(02)裏 R4.02.18発行

世界平和の道はどこに?

 ロシアがウクライナに軍隊を送り,西側諸国に近づいていたウクライナの政権を転覆させて,自分たちに都合の良い政府にしようと,武力で侵略しました。元々,自分たちの兄弟国であったウクライナの中に存在する親ロシア派の地域を独立国家だと勝手に認定し,その国から軍隊派遣を要請されたという名目で,多くの巡航ミサイルで攻撃し,戦車部隊を進軍させ,首都のキエフを陥落させようとしています。アメリカも少し前に,イラクのフセイン大統領に対して湾岸戦争を起こしたことがあります。同じように大量の巡航ミサイルを使って,圧倒的な軍事力でイラクに介入し,フセイン政権を倒しました。世界の2大国家が自分たちの論理だけで戦争に突入した時に,それを食い止める方法がほとんどないことを実感しました。アメリカもロシアも核兵器を多数持っていて,それが戦争の抑止に働くだろうと思っていましたが,ロシアは核の使用を脅しの道具にして,アメリカやEUを抑え込もうとしています。こんな事態に陥らないために,国際連盟があると思っていましたが,そこでは戦争を起こした国を非難はしますが,止める手段がありません。こんな状況になる前に,問題点を話し合い,解決策を全世界の代表で決める必要があります。アメリカやロシア,中国などの大国の意見しか通らないような国連になってしまっています。公平性を保ち,大国の横暴を許さないためにも,世界中の国が対等に話し合い,そこでの結論に大きな力を持たせるべきです。さもないと,世界中には1万発以上の核兵器が存在しており,国の紛争で使われてしまう危険性があります。日本が唯一の被爆国で,核兵器の恐怖を経験してきたからこそ,どうすれば世界を守れるのかをしっかり考えるべきです。どこの国とも対等に話し合い,お互いが納得できるような解決にたどり着くこと,それが日本に求められていることではないでしょうか。

コロナワクチンは5〜11歳も開始へ

 小児へのコロナワクチン接種が始まりました。この年齢は接種努力義務はなく,基礎疾患のある子どもや家庭内にコロナ感染で重症化しやすい人がいる場合などに接種が推奨されています。日本小児科学会が出したワクチンに関する知見では,国内における5~11歳の新型コロナウイルス感染症の大多数は軽症ですみますが,酸素投与などを必要とする中等症の患者も時々報告されており,小児の中等症や重症例が増える可能性があるため,この年齢のワクチン接種には意義があるとしています。ただし,アメリカでのオミクロン株の最新データを見ると,接種直後は感染を防ぐ効果が68%もあったのに,1か月後には12%まで下がってしまい,感染予防はあまり期待できなくなります。重症化の予防は期待できますが,元々あまり重症化しないこの年齢では,積極的に接種を勧めることはできません。国の方針として,オミクロン株流行中での,小児における発症予防効果や重症化予防効果に関する成績が必ずしも十分ではないことを踏まえ,現時点では,小児について努力義務の規定は適用せず,今後の最新の科学的知見を踏まえて,引き続き議論することが適当であるとしています。今後,海外の接種成績や国内での接種成績がどんどん出てくれば,このワクチンを小児に接種するべきか,しない方が良いのか,明らかになるでしょう。