サンタ通信No270(01)表 R4.01.18発行

Happy New Year!

 新しい年が始まりました。子ども達の健康のために,今年もサンタは活躍したいと思います。去年は新型コロナウイルスが変異を続け,アルファ株,ベータ株,デルタ株と感染力も病原性も強くなっていく感じで,患者数の増減に一喜一憂しました。今年はオミクロン株が第6波の流行を引き起こし,お正月明けから患者が急増しています。鹿児島県は1日で123人,鹿児島市が58人と増えてきました。感染力はこれまでの株と比べて非常に強いため,これからまだまだ患者数は増えてきそうです。マスクで防御していても感染してしまう危険性も言われています。多くの地域でまん延防止等重点措置が必要になるような事態になりました。ただ,感染者が多くても,入院が必要な中等症,重症患者は少なく,これまでに医療の崩壊は起こらずにすんでいます。社会生活も保たれています。ワクチンは3回目が済んだ後でも感染した人がいます。ワクチンの目的は,感染を防ぐということよりも重症化を防ぐ方に重点が移っていくのではと思います。検査についてもインフルエンザと同じように,抗原検査キットを使用し,30分くらいで結果が出るようになりました。発熱外来を登録している医療機関で検査が受けられますが,当院は日曜診療をしていることもあり,コロナ疑いの患者さんと,普通の患者さんを分けて診療できる体制にないため,発熱外来をしていません。当院でコロナ検査はできませんが,鹿児島県がPCR検査を無料で受けられる施設を多数登録しています。そこでの検査数が増えてくると,症状がなくても感染者を発見できるようになるため,ますます患者数は増えそうです。

 さて,最近1週間(1月10日〜1月16日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,感染性胃腸炎7人でした。次いで,手足口病6人,ヘルパンギーナ3人,RSウイルス感染症1人,溶連菌感染症1人,突発性発疹1人でした。感染症がいつもの冬よりは少ないものの,いろいろな感染症が子ども達の中で流行しています。小さな子どもはマスクができませんし,接触感染も避けられません。そのため,ノロウイルスやロタウイルスなどの胃腸炎や手足口病などが流行中です。ただ,インフルエンザについては大人が常時マスクをしているため,大きな流行は起こっていません。日本で週50人,鹿児島県は週3人という低さでです。そのため,周囲にインフルエンザの発生がなければ,インフルエンザの可能性は少ないです。コロナ感染防御を続けている限りは,インフルエンザは大きな流行にならずにすみそうです。

 

2月6日(日)は当番医です。救急患者優先になります。混雑が予想されるため,お急ぎでない方は翌日の受診をお勧めします。

サンタ通信No270(01)裏 R4.01.18発行

5〜11歳のコロナワクチン接種について

 新型コロナウイルス変異型オミクロン株の流行により,全国的に感染者が急増し,第6波が始まったようです。この流行で,アメリカでは小児の感染拡大がみられ,それが大人の感染拡大に大きく作用しているとして,5〜11歳の年齢層にもコロナワクチン接種を始めています。日本政府は,アメリカの接種成績を基に,安全性や効果を確認した後,5〜11歳のワクチン接種を3月から始めることに決めたようです。子どもは新型コロナに感染しても,ほとんど重症化しないと報告されています。それなのに子ども達にワクチンを接種する意義は,社会全体のコロナ流行を抑えるためと,子どもの中にも基礎疾患があり,重症化しやすい人がいるからです。ワクチンの安全性は,これまでの接種である程度保証されていますが,今流行しているオミクロン株は軽症で済むことが多いということが分かってきましたので,流行を止めるために小さな子ども達にワクチンを接種することが必要なのかは,よく議論しなければなりません。

 日本小児科学会は,子どもを新型コロナウイルス感染から守るためには,周囲の成人(子どもに関わる業務従事者等)への新型コロナワクチン接種が重要で,重篤な基礎疾患のある子どもへのワクチン接種により,新型コロナウイルス感染症の重症化を防ぐことが期待されると提言しています。また,健康な子どもへのワクチン接種は,メリット(感染拡大予防等)とデメリット(副反応等)を本人と養育者が十分理解し,接種前・中・後にきめ細やかな対応が必要だと示唆しています。この提言は,12歳以上のワクチン接種に対して出されたもので,重症化しやすいデルタ株までの流行を前提にしていますので,オミクロン株に対しては,この提言が変わってくる可能性があります。

 治療薬が徐々に使えるようになり,ワクチン接種を済ませている人は,新型コロナウイルス感染症をそれほど恐怖と感じなくなっているのではないかと思います。最初の頃は,患者の発生をテレビが伝えると,そこの人は買い物にも行かないくらいに,この病気を怖がっていましたが,だんだん病気の本質が分かってきて,社会生活をあまり崩さずに,このウイルスと付き合っていくことができるようになってきました。あと1年も経てば,インフルエンザと同じような扱いの病気になるのではと私は予想しています。

子宮頸がんワクチン再開へ

 昨年末に子宮頸がんワクチンの積極的勧奨を再開すると,国から通達がありました。このワクチン接種を始めた頃に,接種後の痛みや運動障害などの報告が相次いだため,厚労省は2013年6月に積極的な勧奨を中止しましたが,ワクチンの副作用というよりも,接種の不安や痛みが引き起こした可能性があるということが分かり,接種が再開されることになりました。この間,接種できなかった平成9年度生まれから平成17年度生まれまでの女子を対象に,令和4年4月から令和7年3月までの3年間に無料接種を実施することになりました。各自治体からのお知らせをお待ちください。