サンタ通信No276(07)表 R4.07.18発行

第7波!コロナが感染拡大

 今年の夏休みは観光業支援のため,7月中旬から全国旅行支援が行われる予定でしたが,その前に新型コロナ感染症の第7波が始まり,あっという間に感染が広がってしまい,旅行喚起策どころではなくなってしまいました。鹿児島県でも1日で1700人余りと過去最高の感染者数になっています。小児の感染も多く,発熱外来には多くの患者が受診しているようです。ただ,子ども達はコロナに感染しても,ほとんどの子が重症化することはなく,1〜2日発熱するだけで元気になっています。もちろん,基礎疾患があれば,重くなることがありますが,あまりコロナを怖がらずに,基本的感染予防対策を取りながら,楽しく生活することです。社会でも,家庭でも常にコロナのためにストレスの多い生活になっていますので,精神的に楽しいことやうれしいことを取り入れるようにしましょう。夏休みは,海や山へ出かけるのも良いし,家で花火を楽しむのも良さそうです。子ども達の笑顔を見ると,きっと幸せな気持ちになりますよ。

 さて,最近1週間(7月4日〜7月10日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,手足口病で週14人でした。次いで,感染性胃腸炎4人,突発性発疹1人,ヘルパンギーナ1人でした。手足口病が多いです。ここ2年くらいは流行が抑えられていて,手足口病に免疫を持たない子ども達が増えてきていることが影響しています。手足口病には治療薬がありません。自然に良くなるのを待ちます。感染経路は飛沫感染,接触感染,糞口感染があり,この糞口感染というのは,便中には長期間ウイルスが排出されるため,便を触った手を介して口からウイルスが入って感染する形です。好発年齢は乳幼児ですが,学童や成人にも発症することがあります。手足口病という病名の通り,手や足に発疹が出現し,口の中に小さな水泡がみられます。全身に発疹が出ている人がいますが,同じ系統のウイルスによるもので,ウイルス性発疹症という診断になることもあります。保育園などの集団生活は,発熱がなく,食欲も良好ならば,登園を許可しています。しかし,感染する力は唾液にも便にもありますので,登園許可が出ても,子どもに接触した時の手洗いを確実にすることが必要です。感染を防ぐという意識をいつも持ってほしいものです。

 今後の日程については,8月1日〜4日は休診となります。代わりに8月5日(金)を診療日とします。お盆休みは8月14日,15日です。8月12日(金)は診療します。9月7日(水)は臨時休診となります。9月11日(日)は当番医になります。急患の方が優先です。

サンタ通信No276(07)裏 R4.07.18発行

コロナワクチンはどうなる?

 政府は,60歳以上の高齢者や基礎疾患のある人に限って,4回目のコロナワクチン接種を始めていますが,オミクロン株BA5型の爆発的感染拡大を受けて,年齢を問わず全ての医療従事者や高齢者施設職員約800万人に対象を拡大することにしました。4回目で得られる感染予防効果については,イスラエル工科大などは,米ファイザー製ワクチンの4回目接種に関する分析結果を発表しています。接種1カ月後の感染リスクは3回のみの場合と比べ半減しましたが,2カ月後に差がほぼなくなったということです。要するに,接種後2カ月すると,感染予防効果は3回接種と4回接種で差がないということです。ワクチン自体がオミクロン株を目的に作られていないため,その効果は十分なものではありません。どうして,ウイルスの変化に応じたワクチンをどんどん作らないのか不思議ですが,未だに昔のデルタ株以前のウイルスを対象にしたワクチンを使い続けています。

 私も高齢者ということで,4回目の接種券が送られてきていますが,接種した方が良いのか迷っています。発熱外来を標榜していないので,コロナの検査は当院ではしておらず,コロナが疑われる患者さんは来院されていないはずですが,それでも時々,コロナの患者さんだろうなと思われる方が少なからずいらっしゃいます。必要な診察をガウン,保護メガネ,手袋を装着して行っていますが,感染するリスクは一般の高齢者よりもかなり高いです。もう少し効果のあるワクチンなら私も4回目を迷わず接種するのですが,感染した後の重症化リスクと接種の副反応を考えて,接種を迷っています。同じ年齢層の接種率をみて,接種を判断しようかなと考えています。医療関係者の接種が始まれば,皆さんの意向が分かりますので,参考にしたいと思います。

 FDA(アメリカ食品医薬品局)はファイザーとモデルナの新型コロナウイルスワクチンについて,生後6か月から5歳未満への接種は「利益がリスクを上回る」とする結論を出しました。この年齢についても十分な効果が得られ,健康への影響についても新たな懸念は見られなかったと説明しています。日本でも同じ方向に進むかもしれません。

終戦から77年

 知り合いのお寺から毎月サンタ通信のようなパンフレットが送られてきます。なかなかお寺へ行って,お説教を聞く機会も少ないので,いつもありがたく読ませてもらっています。その中にあった記事で,日本は世界大戦を2回も経験したのに,まだ物事の解決に暴力を使って解決をしようとするのは,情けないと書いてありました。ロシアがウクライナに攻め込むことで,自分の主張を通そうとしたり,中国が南シナ海や東シナ海の領有を軍事力で主張したり,北朝鮮がミサイルを飛ばしながら周辺国に脅威を与えたりと,日本を取り巻く社会情勢がきな臭くなっていることは確かです。それに対して日本も負けないように軍事強化を図るべきだと考える人が多くなってきました。それに対して住職は「日本が軍事力を強化しても一時の気休めにしかならない。戦争も平和も同じ命がけなら,暴力の悲劇と愚かさを学び,想像し,伝えることの方が,人類の歴史上,よほど価値がある」と書いておられます。本当にそうだと思います。力で張り合うのではなく,とことん相手と話し合い,相手が困った時に助ける,こちらが困った時には助けてもらうということをずっと続けていけば,周りの国にもその心は届くと思います。戦争を経験した日本人は決して戦争をしてはならないと口を揃えますが,終戦後77年も経過すると,戦争を知らない年代がほとんどを占めるようになりました。そんな状況では,周辺国と争いが起こると,防御のための武力を行使しても良いと考えるようになります。その争いでお互いに競り合うようになれば,戦争になることもあります。世界中の人々が平和について考えてほしいと思います。