サンタ通信No273(04)表 R4.04.18発行

新型コロナはしばらく続きそう

 ここ数日,急に日中が暑くなり,半袖で過ごせるようになりました。気温が25℃まで上がり,車の中にいると冷房が追いつかないほどです。寒暖差の大きい今の季節ですが,病院は感染対策の換気をするために窓を開けます。3月までは窓を開けると寒くて困っていましたが,今は爽やかな風が通ることが多くて,気持ちの良い換気ができます。新型コロナウイルス感染症は第6波が収束する前に拡大傾向がみられており,第7波に入ったのではと言われ始めています。周囲にコロナの患者さんが増えてきたなあと感じます。原因ウイルスがオミクロン株になり,さらに感染力の強いBA1型,BA2型,EX型などに変わってきており,従来の株より伝染する力が強いために,感染者数は増えてきていますが,ワクチンの効果もあり,コロナ感染で重症化する割合は低くなっています。基礎疾患を持つ人や高齢者にとってはまだまだ怖いウイルスですが,子ども達にとっては,入院することもなく自宅安静だけですむことがほとんどです。重症化しやすい人の多くはワクチン接種が済んでいると思われますので,今後のコロナ対応がなるべく早く,インフルエンザ並みになってくれたらと思います。

 さて,最近1週間(4月4日〜4月10日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは感染性胃腸炎11人でした。次いで,水痘2人,手足口病1人でした。感染性胃腸炎は流行が続いています。嘔吐から始まり,半日後くらいから下痢がみられるようになります。嘔吐が強い時は無理に食べさせず,水分で口を湿らせるくらいにしながら,吐き気を抑える薬を使って,経口補水液を少しずつ繰り返し飲ませるようにします。水分が摂れるようになれば,おかゆやスープのような消化の良い食事を少しずつ始めるようにします。経口補水液は点滴と同じ成分になっていて,少しずつ飲むことで,点滴をしているのと同じ効果があります。

 感染性胃腸炎以外の感染症は,水痘と手足口病が少しみられていますが,患者数は少なく,周囲にいなければ心配しなくても良いです。手足口病は夏カゼの代表ですので,夏にかけて少しずつ増えてくるかもしれません。また来月,増えてきたら,この通信でお知らせしますね。水痘ワクチンが2014年に定期接種化され,ほとんどのお子さんが2回接種しているため,水痘は大きな流行にはなりません。2回接種が済んでいても軽くかかってしまうことはあります。

ゴールデンウィークのお休みは5月2日〜5日となります。5月6日(金)は診療します。

5月8日(日)は当番医です。救急患者優先になります。

サンタ通信No273(04)裏 R4.04.18発行

新型コロナとの向き合い

 新規コロナ患者数は,第6波の峠を越えて減少中でしたが,最近は下がり切らずに,高止まりの状態が続いています。ウイルスの感染力が強いために,いつもの感染防御をしていても,新規感染者数を抑えることができないようです。しかし,重症になる人は少なく,ワクチンを受けていたら,それほど怖い病気ではなくなっています。若い人達は,コロナで重症化する可能性が低いという理由で,3回目のワクチンを受けた人はまだまだ少ないようです。鹿児島県の3回目接種率は,12~19歳が4%,20代は25%,30代は26%と低いレベルです。

 医療従事者は新型コロナ患者と接触する可能性が高く,特に発熱したお子さんの診察が避けられない小児科の外来では,ワクチンによる感染防御が必須になります。当院のスタッフも全員3回目の接種を済ませています。それでもまだ,感染してしまうリスクは残っており,マスク,保護メガネ,手洗いなどの基本的感染予防対策を続けながら,仕事をしています。このような外来体制がいつまで続くのか,先が見通せないために,心理的なストレスを強く感じますが,ストレスを解消するために,私はスポーツジムでの運動や,趣味のダイビングなどを楽しんでいます。

スマホと学力

 小児科学会が4月15日から3日間福島で開かれました。コロナ流行中であり,現地参加でも,オンライン参加でも可能な,ハイブリッド開催の形をとっていました。現地に行かれた先生方も,会場では体温測定や手指のアルコール消毒など,厳戒態勢での参加になっています。私はオンラインで15日に参加しました。教育講演のライブ映像を1時間見て,終了直後にテストを受けて80点以上を取ると,小児科専門医に必要な単位を1単位獲得できます。この日に3つの教育講演を聞きましたが,そのうちの一つが「スマホと学力」という講演でした。携帯電話やスマートフォンで,通話やメール,インターネットをする時間と,学校での国語や数学の平均正答率を調べた研究があります。スマホを使う時間が長ければ長いほど,正答率が下がっていました。小学生も中学生も,同じ傾向です。これにはゲームをしている時間は除いてのデータです。通話やメール,インターネットのやり取りに時間をかけると,勉強する時間は少なくなります。

 ゲームについては,ゲーム障害という依存症が問題になっています。ゲームは青少年にとって楽しみだし,ゲーム製作者は,いかに飽きさせないかを追求していて,ゲームを始めると,はまりやすくなっています。子どもにスマホの正しい使い方を教えるべき大人が,すでにスマホなしの生活を考えられない状況になっています。ですから,スマホの使用時間を減らしなさいとか,ゲームをしないようにという注意も,なかなか聞いてもらえません。子ども自身もゲームを止めたいという気持ちがあるのに,止められない苦しさを感じていることが多いです。対策として,子どもが主体的に一日の時間割を作り,まず生活に必要な,睡眠,学校,通学,運動,友達との遊び,宿題,習い事,家族団欒などの時間を決めて,ゲームは残った時間から考えるという方法が効果的だということを教わりました。