サンタ通信No275(06)表 R4.06.18発行

梅雨でも気分は晴れる

 紫陽花がきれいに咲きました。小さな花たちも咲き誇っています。庭がきれいだと,水遣りにも力が入ります。梅雨の時期は雨が多いせいか,気分が沈みがちになります。それでも時々すっきり晴れて,虹が見えたりします。人の感情は,その立ち位置で微妙に変化するものです。頭の痛いトラブルを抱えていたり,気の重いイベントが近づいたりすると,憂鬱な気分になります。なかなかプラス思考にはなれないものです。でも,虹を見た時に,自分に力を与えてくれていると感じたり,草花がきれいに咲いているのを見るだけでも,心にゆとりが生まれたりしますので,その時の気持ちを大切にすることがプラス思考には大切になります。

 さて,最近1週間(6月6日〜6月12日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,感染性胃腸炎で週14人でした。次いで,手足口病1人でした。感染性胃腸炎の流行が続いています。新型コロナの感染予防でアルコール消毒が習慣化されているため,手をアルコール消毒すれば大丈夫と思っている人が多いのでしょう。ノロウイルスやロタウイルスなどの感染性胃腸炎の場面で手を消毒するためには,十分な量のアルコールに30秒以上接触させないと消毒できません。それほどアルコール抵抗性の高いウイルスなのです。そのため,手指の消毒には,アルコールではなくて,石鹸を使い,流水でしっかり手を洗うことが必要です。吐物の処理をする時は,手袋をして,薄めた次亜塩素酸ナトリウムで消毒します。それでも,乳幼児は自分のおしりやオムツを触った手で,あちこち触りますので,感染予防対策は難しいと思います。せめて,食事の前にきちんと手を洗うことを習慣化すれば,多少なりとも効果はあると思います。

 手足口病は週1人と流行は抑えられています。例年なら手足口病が一番多くなる時期ですが,やはり,コロナの感染予防対策がそれ以外の感染症を抑えているのだと思います。ただ,手足口病は8月頃までは流行しますので,今後も流行に注意は必要です。また,梅雨時期は喘息が起こりやすく,発熱と咳の症状で,ゼイゼイしている患者さんを時々みます。吸入で呼吸が楽になりますので,何らかのウイルス性上気道炎・気管支炎だろうと考えています。元々,喘息をもっている人は,喘息発作を起こしやすいです。家の中のカビやダニが増える季節です。アレルゲンが少しでも少なくなるように,生活環境を整えましょう。

 8月1日〜4日は休診です。代わりに8月5日(金)は診療します。お盆休みは8月14日,15日です。8月12日(金)は診療します。その他は暦通りです。

サンタ通信No275(06)裏 R4.06.18発行

子どものコロナ感染症について

 新型コロナウイルス感染症の患者さんを普通にみかけるようになりました。鹿児島県では延べ人数8万人を超える患者数になっています。県の人口が160万人ですから,20人に1人がかかった計算になります。流行当初は有名人が死亡したり,高齢者で亡くなる方がたくさん出たりと,非常に怖い病気だと感じましたが,現在のオミクロン株では,ワクチン接種が進んだこともあり,それほど怖くなくなりました。特に子ども達は重症化することはほとんどなく,高熱が1〜2日出て,すぐに回復するお子さんが多いです。ただ,基礎疾患のあるお子さんは重症化することがあります。また,ごくまれに急性脳症を起こすことが報告されていて,けいれんや意識障害の症状に注意が必要です。

 子どものコロナ患者でも,後遺症の心配はあります。イスラエルにおけるデータでは,新型コロナ発症の子ども3歳~18歳の14,000人に電話調査し,11%に後遺症を認めたということでした。さらに6ヶ月以降も後遺症が残ったのは3~6歳で1.8%,12歳~18歳で4.6%と報告されています。

 後遺症で多くみられるのは,睡眠障害,倦怠感,嗅覚障害などですが,これらの睡眠障害や倦怠感は,コロナにかかったための心理的ストレスでも出現しますので,心理的な症状なのか,後遺症と考えるのか,判断が難しい場合も多いようです。周囲の人から敬遠されたり,好奇の目で見られたりすれば,心理的なストレスは大きくなります。コロナにかかった人には,心理的な支えが必要です。誰が感染・発症するか分からないのですから,お互いに助け合える社会でありたいものです。

熱中症の予防

 私は時々,セイカスポーツクラブで3kmのジョギングをします。屋内のランニングコースですが,今の季節はとても暑く,マスクをしながらでは走れません。窓は解放されているので,マスクなしで走っています。熱中症予防のため,マスクは強制されていません。今月に入り,運動中の子どもが熱中症で救急搬送されたというニュースが何件かありました。まだ気温がそれほど高くないのに熱中症?と不思議に思われる方もいらっしゃると思います。熱中症には気温とともに湿度も大きく影響するのです。梅雨の時期は湿度が高く,汗が蒸発しにくいため,汗による体温調節ができなくなるので,熱中症を起こしやすくなります。湿度70%以上あれば警戒する必要があります。熱中症の症状は,立ちくらみ,こむら返りなどの筋肉の硬直,大量の汗などです。症状が重くなると頭痛,吐き気,倦怠感がみられ,ひどい時は意識が障害されます。

 熱中症の予防は暑さを避けることです。外出は暑い時間帯を避け,エアコンなどで快適な室内にします。こまめに水分を補給し,たくさん汗をかいた時は,スポーツドリンクや塩飴などで水分とともに塩分も摂りましょう。少しでも体調に異変を感じたら,涼しい場所に移動してください。乳幼児のマスク着用には危険があり,特に2歳未満の子どもは,呼吸が苦しくなったり,熱中症の危険性が高まります。2歳以上でも一律にマスク着用を求めず,もしマスクをさせる場合でも,保護者や周囲の大人が,その子の状態に注意しておく必要があります。