サンタ通信No271(02)表 R4.02.18発行

アメリカは屋内もマスクなしへ

 アメリカ合衆国ニューヨーク州は,コロナの新規感染者や入院患者数が減少したことなどから,屋内でのマスクの着用義務をなくすことにしたようです。アメリカの疾病対策センターでは,感染対策として引き続き,屋内でのマスクの着用を推奨しています。ニューヨーク州では1月7日に一日の感染者数が9万人を超え,過去最多という状況でしたが,1カ月後の2月7日は4,000人余りと大きく減少したため,マスクなしの社会生活に戻ろうということになったようです。ただ,地下鉄やバスといった公共交通機関はマスク着用を求められ,子どものワクチン接種率が低いために,学校ではマスクの着用が続いています。日本は今第6波の感染がピークになっていますが,もしこの後にコロナの流行が落ち着いたら,マスクの要らない生活になるのでしょうか。日本では普段からカゼの時にマスクをする習慣があったため,マスクを嫌う人は少ないですが,欧米ではマスクを強制させられるのは,自由を奪われる印象が強いのでしょう。感染状況が落ち着いた途端に,マスクなしの生活に戻ろうとしています。

 日本の知事会は,コロナ感染の機会が,会食や職場から家庭に移ってきているとして,保育所などで2歳以上の保育園児にマスクが必要だと政府に要望しました。政府分科会や厚生労働大臣も2歳以上の子どもにマスクを推奨しましたが,日本小児科学会は,「乳幼児のマスク着用には危険があり,特に2歳未満の子どもでは気をつけましょう」と提言しており,一律に2歳以上の子どもにマスクをさせることに異議を唱えました。幼児がマスクを着用する時には,その全身状態に変化がないか,しっかり観察する必要があります。マスクを嫌がらない子どももいますので,マスクをさせるのは構いませんが,いつも以上に念入りに子どもの状態をみておいてください。コロナ感染を抑えるためだとしても,マスクのために子どもの呼吸状態が悪くなってしまってはいけません。

 さて,最近1週間(2月7日〜2月13日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,感染性胃腸炎6人でした。次いで,手足口病3人,溶連菌感染症1人,突発性発疹1人でした。あいかわらず,ロタウイルス・ノロウイルスなどの感染性胃腸炎が目立ちますが,ピークを過ぎた感じです。手足口病も少なくなりました。しばらくはコロナ以外の感染症は落ち着くと思われます。春はクラスや学校が替わり,転勤など人の移動が目立つ時期です。また感染症が少し多くなってくるかもしれません。コロナの流行状況にはこれからも注意が必要ですが,それ以外の感染症にも気をつけましょう。

サンタ通信No270(01)裏 R4.01.18発行

感動のオリンピック

 北京オリンピックが開催されています。テレビを点けると,選手の活躍を臨場感たっぷりに見ることができます。オリンピックに出るほどの選手は,毎日訓練に明け暮れて,ようやく出場ができるわけですが,メダルを期待される選手が不甲斐ない成績だったら,ネットで非難の嵐が吹き荒れます。中国の女子フィギアの代表が団体戦で最下位の滑りをしてしまい,国内で大バッシングを受けました。彼女がアメリカ生まれで,最近になって中国の国籍を獲得して参加した状況もあり,非難する人が多かったのでしょう。ストレスで潰されそうになりながらも,必死で演技したはずです。日本でも同じようなことがありました。ジャンプの高梨さんが,期待された金メダルを取れず,さらに団体戦でもスーツの規定違反で失格になり,泣きながら仲間に迷惑をかけたと話していました。一番悔しくて辛いのは本人のはずです。

 マスコミは競技の楽しさやワクワク感をあまり伝えずに,金メダルを期待させるような話題ばかりを強調しています。その人がこれまでどんな経験を積んで,今の位置にあるのか,本番の競技でどれだけの実力を出せたのか,もし残念な結果に終わった場合でも,それまでの努力を尊重し,その人に寄り添う形で報道してもらいたいものです。

 私は大学時代に山岳部に入り,山登りやロッククライミング,雪渓訓練など経験してきました。これは安全に山登りをするための基礎訓練です。とても楽しく北アルプスや屋久島の登山をすることができました。また,小児科の開業医になってからは,ダイビングを20年以上続けています。どちらも,人と競技するようなスポーツではありませんが,これらのスポーツを続けるために,週1〜2回ジムに通い,基礎体力を維持するようにしています。もし私が,点数を争うようなスポーツをしてきたのなら,考え方が違ったのかもしれません。でもオリンピックを見る時には,選手の気持ちになって,自分のことに置き換えて,応援したいですね。

日本脳炎のテープ製剤

 日本脳炎の予防接種は,現在,注射器で皮下注射しています。先日,この日本脳炎をテープで皮膚に貼るタイプの製品にして,効果が注射よりも良かったというニュースを見ました。北海道大学病院が開発したもので,大きさは直径約1.5センチ,皮膚に貼るパッチタイプのもので,そこに長さ1ミリの針が109本ぎっしり埋め込まれています。針にワクチンが染み込ませてあり,それを皮膚に貼ると針は体液などで溶けて,有効成分が皮膚の中に吸収されていきます。日本脳炎ワクチンは皮下注射型ワクチンです。皮下注射は皮下脂肪に注射をしますが,皮膚の浅いところに注射をした方がワクチンとしての効果が高いことが知られています。そのため,絆創膏のように貼って使うワクチンを開発したのです。北海道は2016年3月まで日本脳炎ワクチンの非対象地域だったため,日本脳炎の抗体がない人が多いので,その人たちに対してこの貼るタイプのワクチンを2回接種したところ,これまでの注射タイプのワクチンと同等の効果がみられたということです。もしかすると,将来は注射のワクチンがなくなるかもしれないですね。