サンタ通信No268(11)表 R3.11.18発行

少しずつ普段の生活が戻ってきた

 急に寒くなって,冬の装いが必要になりました。半袖ばかり着ていたのを長袖に入れ替え,室内は電気ストーブを準備し,冬用の布団に替えました。いつもなら,少し寒くなっては暖かい日に戻り,段々と寒くなるのですが,今回は急に寒気が日本列島に張り出し,全国的に寒くなっています。このように寒くなると,部屋の換気を避けるようになり,飲食店などのコロナ感染のリスクが高まります。コロナウイルス自体も冬の低温・乾燥により,生存時間が延びます。さらに,年末年始で人の移動が多くなり,忘年会や新年会などのイベントも多いため,これからの季節は新型コロナの第6波到来が危惧されています。多くの人がワクチン接種を済まされていますので,もし第6波が来ても重症患者数はかなり抑制できると思われますが,まだワクチン未接種の方や接種対象にならない子ども達にとっては,感染の危険性と流行を広げる可能性があり,油断はできません。

 最近1週間(11月8日〜11月14日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,手足口病16人でした。次いで,感染性胃腸炎4人,RSウイルス感染症3人,水痘2人でした。集計したすべての患者さんが5歳以下でした。小学生以上の子ども達には感染症があまり流行していないことが分かります。学校で常にマスクをして生活していますし,マスクを外す給食や体育の時間でも,黙食を徹底していたり,運動で密にならないように配慮したり,感染対策をしっかり続けていますので,感染症が少ないのでしょう。例年ならそろそろインフルエンザが発生し始める頃ですが,ほとんど発生がありません。昨シーズンは全く流行しなかったのですが,今シーズンは,人の移動が多くなりそうなので,多少は流行するのではと予想しています。例年は年末年始の帰省をきっかけに,インフルエンザが流行していきますので,年明けからの流行に注意しておけば良さそうです。

 手足口病が目立っていますが,口内炎がひどくて食事が摂れないような重症の人はほとんどいません。発熱も38℃くらいの微熱が時々みられますが,多くの人は熱もなく,手足の発疹が主な症状になっています。発熱がなく,食事が普通に摂れる場合は,集団生活を許可してしますが,感染力はありますので,唾液や飛沫感染に注意が必要です。症状がなくなった後も,2週間は便にウイルスが排出されますので,オムツを触った時は手洗いをしっかりしましょう。

 

11月23日(勤労感謝の日)は当番医です。

年末年始のお休みは12月28日〜1月4日までとなります。

サンタ通信No268(11)裏 R3.11.18発行

手足口病について

 去年は夏に手足口病の流行がほとんどみられなかったため,今年は2年分の流行になっていますが,それでも例年と比較して,患者数は少ないです。コロナ感染対策として,マスクによる飛沫感染予防ができていて,手洗いの習慣もできているため,大流行にならずにすんでいるのだと思います。手足口病は夏カゼの代表的な病気で,夏に多くなりますが,1年を通して流行する病気です。

 原因ウイルスは,主にコクサッキーウイルス,エンテロウイルスなどで,その中にもいろいろな型があり,症状も少しずつ異なります。そのため,手足口病には何回も罹患する可能性があります。感染経路は,飛沫感染,接触感染,糞口感染(便の中に排泄されたウイルスが手を介して口に入って感染する)が知られています。感染後3〜5日で口の中,手のひら,足底などに2〜3mmの水疱が出現します。発熱は全患者の30%くらいにみられますが,高熱になることは少ないです。ただ,エンテロウイルス71型で起こる手足口病では,髄膜炎や脳炎などの中枢神経系の合併症が出やすいことが分かっています。この型が流行した年には,ウイルス性髄膜炎の患者で小児科の病棟がいっぱいになってしまうほどです。また,コクサッキーウイルスA6型の感染では,治癒後1か月以内に一時的に手足の爪の脱落を伴うことがあります。爪の症状は自然に治ります。このようにウイルスの種類により,手足に出る発疹だけではなく,様々な症状を伴うことがあります。

 手足口病の診断を受けた時に,元気だからと発症時に登園許可を求められることがありますが,発症時はまだ病気が進行中ですので,ひどくなってしまうのか,このまま治るのかが分かりません。1,2日様子をみてから,登園を許可しています。

 治療に関しては,特効薬はありません。経過観察をしながら,症状に応じた治療になります。高熱が出たり,発熱が2日以上続く,嘔吐する,頭を痛がるなどの症状があれば,病院を受診するようにしましょう。

 便にウイルスが長期間排出されることがありますので,オムツやお尻に触れた後は,しっかり手洗いをする必要があります。便を介して感染するのは,ノロウイルスやロタウイルスなどの腸炎ウイルスばかりでなく,この手足口病のウイルスやアデノウイルスなど,多くのウイルスが知られています。普段から確実な手洗いを習慣にしましょう。

インフルエンザワクチンは予約終了

 インフルエンザワクチンを1日30〜40人くらい接種しています。10月初めに予約が多く,確保したワクチンを超えそうでしたので,一旦予約を止め,ワクチンをさらにかき集めて,予約を受けてきましたが,これ以上の予約は受けられなくなりました。たくさんのご予約ありがとうございました。早い方はもう2回目接種も終えられていらっしゃいます。来年も早い時期での予約がお勧めです。

 接種間隔で注意が必要な点は,コロナワクチンとは2週間以上の間隔をあけなければなりません。接種日の変更はスタッフまでご相談ください。