サンタ通信No262(05)表 R3.05.18発行

早くも梅雨入り

 今年はゴールデンウィークが明けてすぐに鹿児島は梅雨入りしました。観測史上2番目に早い梅雨入りで,最も早かったのは昭和31年に5月1日の記録があるとのことです。庭のアジサイも開花が早いなあと思っていましたが,長い梅雨は災害も多くなるし,外でも活動も制限されますので,「コロナが収束するようにおとなしく生活しておきなさい」という天の啓示でしょうか。

 さて,コロナウイルスは,変異株の出現で流行が収まる気配がありません。国は緊急事態宣言を出して,この問題に取り組んでいますが,国民は宣言を何回も経験してきて,緊張感があまりなさそうです。ワクチンが行き渡れば少しはウイルスの恐怖が薄まると思いますが,高齢者のワクチン予約でも問題がありそうです。コールセンターに電話しても50回に1回くらいしか通じないとのこと。高齢者はネット予約が難しいため,ほとんどの人が電話で予約をしようとします。ただ,コールセンターで予約を受ける場合でも,接種券番号や西暦での誕生日など,高齢者にとってはすぐに応答できない情報を聞き出して予約を取るわけですから,一人当たりの電話時間が長くなるのは容易に想像できます。予約開始の初日,100回電話をかけても通じなかったというニュースを聞いて,もっと年齢区分を細かくして,電話を繋がりやすく工夫するとか,町内会で高齢者の予約を代行するような協力体制をとってみるとか,もう少し柔軟な発想があっても良かったのにと思いました。知り合いの人がいたら,ネットでの予約を頼むように働きかけがあったようですが,高齢者には友人が少なく,特に若い人たちとの接点は少ないです。世代を超えて交流ができるような社会をこれからはめざすべきでしょうね。例えば,各町内に寄合所みたいな場所があって,誰とでも自由に交流ができたらいいですよね。こんなことに困っているとか,こんな取り組みはどうだろうかなど,そこを中心に,特色のある街づくりができるはずです。

 最近1週間(5月11日〜5月17日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,感染性胃腸炎4人でした。次いで咽頭結膜熱2人でした。その他の感染症はほとんど流行がなく,マスク生活の定着による影響が大きいと思われます。インフルエンザも溶連菌も飛沫感染が中心ですので,ほとんど流行がなくて,おそらく夏の感染症の代表である手足口病やヘルパンギーナも,あまり流行しないのではと思われます。小児科の外来を受診される患者さんは,これまでの半分くらいの患者数になっています。さらに,新型コロナウイルス感染症に小児が罹患した場合でも,ほとんど治療せずに治癒していますので,小児科医の出番はあまりなく,仕事量としては,これまでの半分くらいで済んでいるのではないでしょうか。開業小児科医が高齢化していて,問題になっていましたが,仕事量が少なければ,年相応な仕事ができて,多くの開業小児科医が年齢を理由に仕事を辞めずにすむのかもしれません。今後,ワクチンをした人が多くなり,マスクのない生活に戻れば,感染症は以前の水準になりますので,ワクチン後もマスクは継続しておきましょう。

サンタ通信No262(05)裏 R3.05.18発行

新型コロナウイルス感染症に伴う社会不安

 この時期は小学校や保育園の内科健診によく行きます。例年は,子ども達と会話しながら元気さを診ていますが,今年は皆マスクをしていて,会話も控えなければならない状況ですので,元気があるのかどうか分かりにくいです。このところ,ずっとコロナの暗いニュースが連日報道され,私たちの気持ちも暗くなりがちです。うつ状態になる人が増えたり,子どもの虐待件数が増えたりしています。皆さんの家庭はいかがですか。暗い雰囲気になっていませんか。できるだけ積極的に明るい話題を提供して,家族の笑顔があふれるようにするためには皆さんの努力が必要です。お子さんが頑張っていることや,面白いエピソード,季節を感じられる花の話題など,心が豊かになるように家庭の雰囲気を作ってみましょう。部屋に家族の写真を飾ったり,明るい花を飾ったりするのも良いですね。

 家庭がギスギスしていると,うっぷんがたまり,それが力の弱い子どもに向けられるようになります。大家族の場合は,心にゆとりのある人が一人でもいると,場をなごませたり,諭したりできるのですが,現代の核家族では,ストレスが高まってきた親のイライラが,直接子どもに向いてしまいます。周囲が虐待に気づくのは,子どもの泣き声が気になる場合ですが,なかなか通報するのはハードルが高いですよね。毎晩子どもが大声で泣きわめくようなら,あそこの家庭はおかしいと問題にできますが,虐待が報道された時に,隣近所の方々が,そこの家庭に子どもがいたことさえも知らなかったというニュースを聞きます。できれば隣に誰が住んでいて,どんな家族構成なのか,普段のあいさつに加えて,世間話を少しできる関係を保っていたいものです。

東京オリンピックについて

 世間では,オリンピックができるのだろうかと気をもんでおられる方も多いと思います。国の一大イベントとして,何が何でも成功させたいというのが国の方針です。ただ,国民がコロナで大変な時に,世界中から参加するオリンピックに対し,受け入れる日本は大丈夫だろうかと不安な人は多いでしょう。また,医療崩壊が起きてしまっているインドなどは,選手を派遣する余裕があるのでしょうか。日本がオリンピック会場として立候補した以上は,参加する選手たちのために大会を開く義務はあるのでしょうが,今の社会情勢で安心・安全な開催ができるのか疑問です。観客は海外から受け入れないことが決まっていますし,自国民の観客も予定の半分くらいに制限する案や,無観客で開催する案を検討しているようです。観客のいない競技場で,黙々と競技して優勝しても,選手達は達成感が得られるのでしょうか。テレビの放送も盛り上がりに欠けるような気がします。あと1年延ばして来年だったら,ワクチン接種がほとんど終わって,流行はかなり抑えられていると考えられますので,海外からのお客さんにも「おもてなし」ができて素晴らしい大会になったのでしょうが,この時期に開催になってしまったのは本当に残念です。

 日本国内の今の情勢として,各地に緊急事態宣言が次々に出されていますので,この状況でオリンピックを強行するのは非常に困難だと思いますが,これから2か月間,国民が協力してコロナの流行を抑え込むことができたら,その時は私たちもテレビで競技を楽しむ余裕があるかもしれません。この数年間,オリンピックが開かれるのか,不安に翻弄されてきた世界中のアスリートにとって,この大会は夢の舞台です。オリンピックの開催が決まれば,精一杯の応援をテレビの前でしたいと思います。そのためには,ワクチン接種をどんどん進める必要があります。自衛隊が行う大規模接種会場も大きな都市では計画されていますが,多くの人にワクチン接種できて,高齢者だけでも接種が終わっていれば,少しは安心してオリンピックを迎えられますが,果たして開催されるのでしょうか。