サンタ通信No263(06)表 R3.06.18発行

暑い夏がすぐそこに

 梅雨の期間が長くなりそうですが,今年の梅雨前線は活発な感じがします。雨がよく降ります。朝晩も気温が高めで,湿度も高く,寝苦しい夜が多いです。エアコンを作動させて,気持ちよく眠りに入るのはいいのですが,そのまま消し忘れると,朝方は冷えてしまい,体調を崩すことがあります。タイマーで調節するか,室温を少し高めに設定して調整するなど工夫しながら,家族がしっかりと睡眠をとれるように,気を配りましょう。

 外出する時にはマスクがまだ必需品ですが,新型コロナワクチンを接種した人が多くなったアメリカでは,疾病対策センターが,ワクチンの接種を完了すれば,屋外ではマスクを着用しなくてもいいとする新たな指針を発表しています。ただし,屋内や人ごみの中では着用すべきだとしています。日本でも,ワクチン接種者が大多数を占めるような状況になれば,屋外でのマスクは不要になってくると思われます。おそらくその頃には,新型コロナ患者の数は激減しているはずです。変異株のウイルスに対して,ワクチンがどれくらい効果を保てるのかは課題ですが,生活様式が少し自由になってくると思います。今とても困っているのは,飲食店や旅行業界の人たちです。クラスターを増やさないために,時短営業の上に,アルコール提供もできなくて,店を閉める人たちが多くなりました。旅行も海外旅行はまだまだ無理ですし,国内もワクチン接種が終わった人が旅行に行けるようにはなりそうですが,以前とは比較にならないレベルだと思われます。ホテルや旅館などの宿泊業や飛行機・列車・バス・タクシーなどの交通業界への支援も必要です。状況を見極めて,どのタイミングで旅行を喚起できるのか,また,コロナ流行の波が出てきた時にどう対処するのかなど,この国の舵取りは難しい局面がしばらくは続きそうです。

 最近1週間(6月7日〜6月13日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,咽頭結膜熱6人でした。次いで,感染性胃腸炎3人でした。夏の感染症の代表である手足口病やヘルパンギーナはほとんど流行していません。溶連菌感染症も流行はわずかです。マスク着用やアルコールによる手指消毒により,飛沫感染やアルコールで消毒できる細菌やウイルスはしっかり抑えられています。乳幼児ではソーシャルディスタンスが取れませんので,糞口感染や接触による感染を起こすロタ・ノロウイルスによる感染性胃腸炎は流行しやすいのだと思います。アデノウイルスが原因の咽頭結膜熱も流行していますが,このアデノウイルスはアルコール消毒の効き目が弱く,石鹸による流水での手洗い後にアルコール消毒を行う必要があります。アルコール消毒を過信せずに,流水と石鹸での手洗いも大事です。家に帰ってきた時は,手洗い・うがいの習慣を続けるようにしましょう。このアデノウイルスは便の中に長期間排出されますので,便やおむつを触った時に手洗いをしっかりしましょう。

 

お盆休みは8月13日〜14日になります。 

8月15日(日)は当番医を担当します。救急患者優先です。お急ぎでない方は翌日の受診がお勧めです。

サンタ通信No263(06)裏 R3.06.18発行

英会話能力は使わないと落ちる

 小児神経学会が先月末にWeb開催されました。病院が休みの時に学会に参加しましたが,久しぶりに英語での招待講演を聞き,英語を聞き取る力がすっかり落ちているのに気づきました。若い頃はカナダやイギリスを車で旅行しながら,B&B(Bed & Breakfast)に泊まって自由に旅行していました。B&Bというのは,普通の家庭の中の1室をお客さんに提供し,朝食付きの民宿みたいなものです。そこのご家族とリビングでくつろぎながら,いろいろな話題で盛り上がるのですが,日本を紹介したり,現地のお勧めの場所を聞いたりと,意思疎通ができていましたが,久しぶりに2時間くらいの英語での講演を聞いてそのスピードについていけませんでした。普段から英語に慣れていないと,英会話の力はどんどん落ちていくものですね。

 1題目はフロリダの先生の講演で,ADHD(注意欠陥・多動性障害)の話でした。薬物治療の前に行動療法を行なった方が治療成績が良くなるという話でした。2題目はカリフォルニアの先生が自閉症における大気汚染などの環境リスクについて講演されていました。妊娠中や生後1年くらいの環境リスクについて,もっと気を配るべきだと話されていました。これまでも学会に参加した時には,できるだけ英語の講演も聞くようにしていましたが,今回のようにWebでの学会では,自宅でコーヒーを飲みながら,最新の話題について知ることができます。これからはどの学会も現地に集まるだけでなく,Webでの参加を促すような取り組みを期待したいです。

コロナワクチン後の世界に期待

 アメリカ疾病対策センターが,今年1月から4月30日までに新型コロナウイルスワクチンの接種を完了した後にコロナに感染した人が,およそ1億人のうち0.01%だったとする調査結果を公表しています。アメリカ各州の保健当局のデータを基に集計したところ,接種を完了したあとで感染したと報告された人は,およそ0.01%に当たる1万262人だったということです。さらに,医療機関に入院したのが995人,死亡したのは160人という報告です。つまり,ワクチン接種後にコロナに感染してしまう確率は1万人に1人くらいになり,その内,入院になるのが10万人に1人,死亡するのは100万人に1人と,コロナの危険性を充分に抑えられると結論しています。ワクチンの効果は素晴らしいものです。ただ,このワクチンの効果がいつまで続くのか,変異株が大きく変化していくとワクチンの効果が低下するのかという問題はありますが,世界中の人がワクチン接種できれば,明るい未来が見えてきそうです。

 ワクチンの副反応については,アメリカで約166万人の接種者における副反応をまとめた論文で,接種の翌日に最も頻度が多く,1回目接種で,接種部位の疼痛が約65%,倦怠感,頭痛,筋肉痛が約20%に,悪寒や発熱が約7%に報告されています。2回目接種においては,接種部位の疼痛が約65%に,倦怠感,頭痛,筋肉痛が約40%に,悪寒や発熱が約20%に報告されています。65歳以上と65歳未満を比べると,65歳以上の方がいずれの副反応の発生頻度も低かったと報告しています。多くの人にワクチン接種していくと,接種後に死亡した人も出てきますが,ワクチンとの関連は不明です。脳卒中で亡くなった人や,心臓病で亡くなった人など,とりあえず,接種後に死亡した症例を拾い集め,ワクチンとの関連を調べていくものと思われます。

 実際に私がワクチンを受けた時も,1回目が接種翌日に接種部位の筋肉痛がかすかにある程度でしたが,2回目は接種部位の痛みをやや強く感じ,持続期間も3日くらい続きました。接種翌日は少しだるい感じがしましたが,発熱はなく,日常生活に支障はありませんでした。