サンタ通信No261(04)表 R3.04.18発行

コロナワクチン接種はいつ?

 今年の桜は開花するのも早く,散るのも早かったですね。4月は進学や就職,転居など,環境が大きく変わる季節です。歓送迎会が一番多い時期ですが,飲食店はどこもお客さんが少なく,経営が大変なようです。これまでは職場に新人が来ると,新しい職場に慣れるために一緒に食事をしたり,お酒を飲みながらその人の性格や考え方を知って,仕事が円滑にできるようにしていました。私が市立病院に勤務していた頃,3〜4月に甲突川の河畔でバーベキューをしながら,職員と親睦を深めていました。今は,市立病院も会食をしないように指示が出ているようで,新人は慣れない環境にストレスがたまりそうと心配になります。ワクチンが行き渡って,社会が早くコロナ以前の状態に戻れることを祈っています。

 また,この時期は朝晩が少し肌寒く,日中はシャツ1枚で過ごせるというほどの気温差が大きいため,くしゃみ,鼻水などのカゼ症状が多くなっています。春の気候では,お子さんの服装をこまめに調整してあげてください。夜にお風呂を浴びた後,薄着のままテレビを見ていたりすると,すぐに鼻水や咳が出始めます。ちょっとした気遣いをお子さんにかけてあげましょう。

 さて,最近1週間(4月5日〜4月11日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,感染性胃腸炎2人でした。次いで伝染性紅斑1人です。ウイルスによる嘔吐下痢は大きな流行はありませんが,わずかに流行が続いています。4月になって新しいクラスになると,溶連菌感染症が流行しますが,例年と比べると極端に少なく,飛沫感染する病気は軒並み流行が抑えられています。ただ,マスクができない年齢層に流行するRSウイルス感染症や,糞口感染するウイルスによる感染性胃腸炎などは,流行が散発的にみられますが,それさえも患者数は極端に少ないという状況です。多くの人が3密を避けて,手洗いや消毒を心がけているせいでしょう。

 私たちのような小児科クリニックでは,感染症の診療が主な仕事で,健診や予防接種の仕事は全体の20%くらいのものでした。ところが,感染症の激減で,今では健診や予防接種が仕事の中心に代わりました。おそらく数年間はこの傾向が続きそうな予感です。もちろん,子どもの病気がなくなるわけではありませんから,救急処置が必要になる重症の病気を見逃さないようにしなければなりません。今月末に当番医を担当しますが,例年と比べて半分くらいの患者数を予測しています。診察時間に余裕がありますので,より慎重に診察できると思っています。また,小児科の仕事が少ないという状況をみて,高齢者のコロナワクチン接種を当院でもしませんかというお誘いがありました。確かに小児科医はワクチン接種が得意ですが,普段から高齢者を診察していませんので,持病を把握してワクチン接種が可能か判断するのには少し無理があります。まるで,ペーパードライバーの人に,免許を持っているんだから運転してみませんかと言われている感じです。

 

4月25日(日)は当番医です。救急患者さんが優先になります。

ゴールデンウィークは暦通りの診療になります。

サンタ通信No261(04)裏 R3.04.18発行

蕁麻疹について

 私はイカを食べて,蕁麻疹が出た経験があります。大学生の時に長島の伊唐島をサークルの巡回で訪れていた時,地元の方にいただいたイカを自分たちで調理して夕食にしましたが,その夜に全身に蕁麻疹が出て,診療所を受診しました。今でこそ伊唐大橋ができて,車で通行できますが,その時は船で渡るしかなく,地元の人に頼んで船を出していただきました。また,時間外にもかかわらず,診療所の先生に注射をしてもらい,翌日はすっかり蕁麻疹は消えていました。それまでイカは普通に食べていましたし,今でもイカは刺身,フライ,煮付けなどたくさん食べますが,蕁麻疹は出ません。おそらく,料理もあまりできない学生が調理したので,イカの皮も処理せずに食べたのだろうと思います。

 蕁麻疹の原因はいろいろあります。食物によるものが多いですが,それ以外にも,抗生剤などの薬剤によるもの,ダニや花粉などの吸入アレルゲンによるもの,皮膚をこすったり,暑さ・寒さなどの物理的な刺激によるもの,心因性のものなどがあります。食物によるものは,摂取後数分から2時間以内がほとんどです。食物摂取状況を詳しく記録し,その時の生活環境(衣類,ペットなど)に関係がないか,家族にアレルギーの人がいないかなど,診断の参考になります。食物の中でも,乳幼児に多いのは卵,牛乳,小麦のアレルギーが圧倒的に多いのですが,これらの食物は,半数くらいの人で4歳までにアレルギーを起こさなくなります。甲殻類は年長,成人になってから発症することが多いです。ナッツ類,ソバ,魚,甲殻類のアレルギーは,改善せずに将来も続くことが多いです。

 アレルギーの血液検査やアレルゲンを皮膚に接触させるプリックテストなどで診断することができますが,原因がわからない蕁麻疹も多いです。皮膚に起こる蕁麻疹と違い,全身に起こるアナフィラキシー(全身性のアレルギー)は命にかかわりますので,アレルギー専門の医師に診てもらう必要があります。蕁麻疹とともに血圧が低くなって意識がなくなったり,ゼイゼイする呼吸になってきたりする場合には,アナフィラキシーが疑われますので,すぐに救急処置が必要です。蕁麻疹だけの症状であれば,アレルギーを抑える内服薬と痒みを抑える塗り薬を使って治療します。蕁麻疹は次から次に新しいものが出ては消えますが,数日は繰り返すことがあります。体が温まると出やすくなりますので,落ち着くまでは入浴は控え,ぬるま湯でのシャワーくらいにしておきましょう。寝る時も体が温まらないようにしましょう。1週間くらいの内服で蕁麻疹が出なくなれば大丈夫ですが,まれに1か月以上続く人もいます。慢性に経過する場合は,アレルギー科や皮膚科での治療を勧めています。

おたふくかぜワクチン欠品について

 おたふくかぜのワクチンは2つのメーカーで作っていますが,そのうちの1つのメーカーが4月から10月までワクチンを出荷できなくなりました。製造工程でのトラブルによるもので,現在流通しているワクチンについては,品質は保証されています。ただ,半年間は流通するワクチンが半減しますので,希望者全員に接種できなくなりそうです。当院で採用しているメーカーについては,順調に製造できているとのことで,これまでと同じ量の供給ができそうだとのことですが,希望者が多くなりそうな時は,1回目の接種を優先したいと考えています。11月以降はワクチン供給が元に戻ると思いますので,2回目接種の方はそれからでも大丈夫だと思います。鹿児島市のおたふくかぜワクチン助成は1回目が1歳以上2歳未満,2回目が5歳以上7歳未満で小学校就学前の1年間になっています。ワクチン不足については,おたふくかぜが飛沫感染する病気で,現在ほとんど流行していないのが救いです。