サンタ通信No259(02)表 R3.02.18発行

新型コロナワクチン始まる

 いよいよコロナワクチンの接種が始まりました。最初は国公立病院のスタッフへの接種になります。ワクチンの副反応を確認しながら,3月には全国の医療関係者へ接種していき,4月に高齢者,基礎疾患のある人,高齢者施設の職員などの優先順位で接種が進むと思います。若い人は,かかっても軽く済むからワクチン接種をしないという人も多いと思います,しかし,感染を抑え込むには国民の大多数がワクチンで免疫をつけることが必要です。以前のような社会に戻るためには,感染者がだらだら続くことは避けなければなりません。日本でワクチン接種が進んでいくと,ワクチンに対する期待や不安がはっきりしてきます。その情報を自分で確認しながら,接種するのかどうかを決めてもらいたいものです。マスコミは副反応だけを取り上げて,こんな怖い症状が出たと騒ぎ立てる傾向があります。もちろん,体に異物を入れるわけですから,100%安全なワクチンはありません。どれくらいの頻度で副反応が出たのか,その症状がどのくらいで回復したのか,さらには副反応だけでなく,効果についても詳しく報道してほしいですね。

 さて,最近1週間(2月8日〜2月14日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,感染性胃腸炎で週12人でした。次いで,RSウイルス感染症1人,手足口病1人でした。飛沫感染する病気は,コロナ対策により大きく抑えられています。インフルエンザも全く流行がありません。感染性胃腸炎については,小さなお子さんの間で,手指の消毒ができていなかったり,嘔吐物の消毒ができていなかったりするために,流行が続いています。嘔吐下痢を起こすウイルスはアルコールで消毒できません。コロナウイルスと同じように,アルコールで消毒しているだけでは,嘔吐下痢の病気は予防できませんので,石鹸を使った手洗いをしっかり行うことと,床に付着した嘔吐物を拭く時には,手袋を使い,ハイターなどの塩素系消毒薬を100倍に薄めた液で拭き取り,10分後に水拭きすれば大丈夫です。使ったタオルや手袋,おむつなどはビニール袋に入れてしっかり閉じて捨てましょう。ノロウイルスやロタウイルスが原因ウイルスですが,これらを確認する必要はありません。どのウイルスでも治療法や予防法は同じです。まれに,親が飲食店で勤務するために,ウイルスの同定が必要と言われる方がいらっしゃいます。その時は便を検査に出すようにしています。

 治療については,特効薬はなく,嘔吐を抑えながら,水分を摂らせることです。ほとんどのお子さんは,嘔吐を抑える座薬を使えば,1時間くらいで水分が摂れるようになりますが,嘔吐が強い場合は,薬で抑えられずに点滴が必要になることもあります。吐き気どめの座薬で水分が摂れなかったら,すぐに病院を再受診しましょう。薬で吐き気を抑えられた場合でも,食事の再開はまだ早いです。まずは,経口補水液(OS-1)を10mlずつ10分間隔で繰り返し与えていきます。吐かずに飲める時は,少しづつ量を増やします。

 

4月25日(日)は当番医です。救急患者さんが優先になります。

サンタ通信No259(02)裏 R3.02.18発行

日本脳炎ワクチンの不足について

 日本脳炎のワクチンが1月中旬から突然,購入できなくなりました。原因はワクチンを作っているメーカーの製造工程に問題が発生したためで,日本では日本脳炎ワクチンを元々2社で半分ずつ製造していました。今回,1社がトラブルにより製造できなくなり,残り1社だけの製造になってしまいました。ワクチン供給が半分になったということは,接種対象者の約半分しか受けられないことになります。そこで,国は「供給が安定するまでの間,4回接種のうち,1期の2回接種(1回目及び2回目)の接種を優先すること。(ただし,定期接種として接種が受けられる年齢の上限が近づいている場合には,定期接種で受けられる年齢を過ぎないように接種を行うこと)」と通知してきました。突然,ワクチン供給に制限がかかり,当院では2か月先まで予約を受付けていますので,すでに予約済みの方に事情を説明し,追加接種や2期の人には接種を待ってもらうことにしました。2022年度にはワクチン供給量は元に戻りそうですので,それ以降は希望通りに接種できると思われます。ただし,追加接種や2期の方でも,接種期限が迫っている方については,接種が受けられます。また,2021年度の追加接種や2期については,市から通知はせず,1年遅れて,2022年度に改めて通知するようです。

 日本脳炎の標準的な接種年齢は,第1期が3歳以降に1~4週間隔で2回接種し,2回目の約1年後に追加接種をします。この3回の接種で基礎免疫をつけたことになります。さらに第2期を9~12歳に1回接種します。日本脳炎は日本脳炎ウイルスを持っている蚊に刺されることで,感染します。豚の日本脳炎抗体保有状況をみると,西日本は高い保有率になっています。この地域に住む人は早い年齢で接種することを希望される方も多いです。生後6か月から接種することができます。ワクチンの確保ができれば,その年齢のお子さんにも接種ができます。しかし,今年中は日本脳炎ワクチンについては,確保できる量はその時々で大きく変わると思われます。ワクチンについての相談は,当院スタッフがお受けいたします。

コロナワクチンのドタバタ

 3月中には医療従事者のコロナワクチン接種が始まります。最初は-75℃での保管が必要で,大きな会場でしか接種できないと言われていましたが,実際に接種可能な医療機関を調査したら,全然足りなかったようで,普通のクリニックでも接種が可能になるように,ワクチンを小分けに配分すると変更があり,当院も登録しました。これで,スタッフも自院で接種が受けられそうです。

 1本のワクチンが5人分なのか6人分なのかもはっきりしません。1本にワクチンが1.8ml入っていて,1人分0.3mlずつですから,きれいに分けると6人分になります。でも日本で使われている注射器は,先端に液がわずかに残る形状になっているため,5人分しか取れないのです。政府は今頃になって,アメリカで使われているような,液を残らず押し込める注射器を作れないか,メーカーに頼んだようですが,接種が始まる時期になってから,注射器を新たに作りなさいと言われても,間に合わないことは誰でも分かりそうなものです。結局は1本5人分で接種していくしかないのでしょうね。