サンタ通信No248(03)表 R2.03.18発行

コロナ騒動いつまで続く?

 新型コロナウイルス感染症COVID-19(コビッド19)が日本でも流行が持続しています。幸いなことに鹿児島県では患者発生を阻止できていますが,一人目がいつ発生してもおかしくない状況です。さらに,この流行が日本で,世界中で,いつまで続いて,いつ頃収束するのかが見通せないのが実情です。とりあえず学校を休校にして,子ども達から感染が拡大するのを防ぎ,さらに,感染の基になるライブハウスやスポーツジム,イベントなどを自粛してもらい,日本での流行を抑制できるのかを判断しようとしています。ただ,潜伏期が2週間といっても,感染した人が軽症で微熱や軽い咳くらいの症状しかない場合は,感染者本人は知らないまま,1か月近くウイルスをまき散らす可能性があり,本当に抑え込めるのかは1か月単位で経過をみていくしかないのではと私は思っています。私たちにできるのは,体調が悪い時はしっかり休み,周りの人にうつさないようにすることと,人混みの中に行くことを避けること,手洗い・うがいなどの励行と規則正しい生活と食事,十分な睡眠を心がけることだと思います。発生源の中国は,8万人以上の感染者と3000人以上の死者を出すという悲惨な流行を引き起こしてしまいましたが,大都市の武漢を閉鎖し,国中も移動禁止にして必死に抑え込んだのが功を奏し,患者発生が1日50人以下まで減少してきています。もし日本でも蔓延した時は,中国の対策を参考に,非常事態として人の移動をしっかり制限すれば蔓延は食い止められそうです。ただ,経済に与える影響は大きく,私たちの生活にも大きな負担がかかってきます。そうならないために,今予防のためにできることを毎日の生活の中で取り入れることです。

 さて,最近1週間(3月9日〜3月15日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,溶連菌感染症で週4人でした。次いで,咽頭結膜熱2人,水痘1人,感染性胃腸炎1人,手足口病1人でした。インフルエンザはここ2週間は発生がありませんでした。皆さんが感染対策をしっかりされているため,感染症全体がかなり抑えられています。当番医の小児科の先生も普段の半分以下の患者数だったと話しています。このまま,感染症全体を抑えながら,皆さんが感染防御に注意して生活していただけると,鹿児島県ではコロナ患者発生0が続いていくのではと期待しています。それに伴って,他の感染症も流行を抑えられますから,うがい・手洗いの習慣をつけるようにしましょう。さらに,体調が悪いと感じたら,仕事を休む,学校を休むという習慣も日本人には大切です。皆勤賞や無理をしても働くことを美徳としてきた風土がありますので,ちょっと微熱で急にお休みしますとは言いづらいかもしれませんが,コロナ対策のためには,是非とも休んでいただいた方が良いでしょう。私も病院を休まないように,体調管理をしっかりしたいと思います。

 4月11日は休診の予定でしたが,診療致します。

 4月28日〜5月1日は休診となります。

 5月10日(日)は当番医を担当します。救急患者が優先となります。

 5月28日(木)は学会のため,休診となります。

サンタ通信No248(03)裏 R2.03.18発行

ヒブ(Hib)ワクチン再開

 ヒブ(Hib)ワクチンが,製品の不具合のため,1月末から供給を停止していましたが,製造工程に問題がなかったことを確認して,供給再開できるようになりました。髄膜炎や敗血症を防ぐ大事なワクチンですので,長期の欠品にならずにほっとしました。ちょうどその時期に受けられなかった方は,なるべく早く受けるようにしてください。注射する側も,製品に問題がないか,しっかり見極めながら接種したいと思います。

コロナウイルスの収束は見通せるの?

 コロナウイルスが中国の武漢市で発生し始めたのが,昨年の11月でした。年末年始に中国国内でアウトブレイクし,1月末から中国は武漢市を交通封鎖し,ようやく拡大を食い止めました。現在まで患者発生は続いているものの,ピークを過ぎて落ち着いてきています。中国国内で8万人が感染し,死亡者は3,213人という大惨事になってしまいました。中国が峠を越えた頃から,中国以外の国の感染が急速に増えて,イタリア2万人,イラン1万人が感染してしまい,死亡者もイタリア1809人,イラン724人になり,イタリアは全土がマヒ状態に陥っています。フランスも感染者の拡大を止めるべく,全土のレストラン・カフェを翌日から営業中止にするという命令を出しました。アメリカも10人以上の集まりを禁止し,レストランでの食事を控えるようにしました。世界中が戦々恐々としている中,日本も緊急事態宣言が出せるようになりましたので,流行の拡大が食い止められなければ,同じような指示を出すかもしれません。

 現在,世界中がウイルスとの戦争に巻き込まれています。大きな流行にならなければ,感染防御の対策をしながら普通の生活ができます。しかし,大きな流行になってしまうと,医療体制が崩れ,助かる命が助からなくなります。感染を拡げないように全員が協力しあわなければなりません。学校やライブ会場,スポーツジムなど,クラスターになりやすい場所について対策を取った結果,新規患者発生数の増加は少し抑えられています。患者が一人もいなくなって完全制圧となるには,1年以上かかるでしょうし,日本がどれだけ抑え込んでも,海外での流行が続いていれば,必ず患者が日本に入り込んできます。治療方法が確立されたり,ワクチンで予防ができたりすれば安心なのですが,それまではじっと我慢の生活が続きそうです。

 小児科の外来では,いろいろな検査や処置ができなくなっています。先月,北海道の医師が発熱患者にインフルエンザ検査をしたところ,その患者がコロナウイルス陽性だったため,検査した医師がコロナウイルスに感染してしまいました。この事例をもとに,日本医師会は,インフルエンザなどの鼻やのどから検査をする場合は,マスク・ゴーグル・手袋・ガウンを装着するように指示があり,できない時は検査を控えて,診察だけで診断し,治療することを考慮してくださいとのお知らせでした。しかし,検査のたびに完全防御をしていたら外来診療は成り立ちませんし,このような備品もなかなか手に入りません。反対に検査を控えることで,患者さんの病状が悪化すれば,後悔します。国も通知するだけではなく,実際の現場で使えるようなQ&Aで,どうすればよいのか,基準を示して欲しいものです。小児科はカゼの患者さんが多くを占めますので,当然コロナウイルスの可能性は少なからずあります。鹿児島県でも患者が発生してくれば,危険性が高くなりますので,迅速検査がなかった頃の20年前の診療に戻ることになりそうです。20年前までは,周囲の流行状況と臨床症状,診察の所見からインフルエンザの診断をしていたわけですから,私としては検査なしでの診断に困ることはありませんが,患者さん側の了解を得るのは大変だと感じます。診察中にできるだけ詳しく説明するように努力します。皆さんのご協力もお願いしますね。