サンタ通信No241(08)表 R1.08.18発行

RSウイルス感染症に注意

 梅雨で和田川が氾濫した後は,熱中症のニュースが多発するような酷暑の夏が始まりました。35℃くらいの気温が続き,仕事をしていてもエアコンが効いていない部屋は,入りたくないほどです。水分を積極的に摂りながら,日常生活も頑張りすぎないようにしています。これまではあまり目立たなかったのですが,午後の予防接種を受ける赤ちゃんで,体温が37.5℃を超えていることが多くなっています。5分後や10分後に測り直すと平熱に戻りますので,来院する時の車の中が暑いためだと思われます。車に赤ちゃんを乗せる前に,エアコンを効かせて車内の温度を下げてから,赤ちゃんを車に乗せるようにしましょう。病院から帰る時も,車のエアコンがしっかり効くまでは,赤ちゃんは病院の涼しい所で待たせた方が良いですよ。

 さて,最近1週間(7月29日〜8月4日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのはRSウイルス感染症で,週5人でした。次いで,咽頭結膜熱3人,伝染性紅斑2人,溶連菌感染症1人,感染性胃腸炎1人,手足口病1人,ヘルパンギーナ1人,インフルエンザ1人でした。夏カゼの手足口病はすっかり終息しました。初夏に大きな流行になりましたので,終わるのも早かったようです。RSウイルス感染症は冬に多いウイルス感染症ですが,最近は夏から流行し始め,冬にかけて流行が続きます。この病気は,1歳までに半数以上がかかってしまい,2歳までにほとんどの子どもがかかってしまう病気です。ありふれたカゼの症状で,特に咳が強いカゼなのですが,新生児や6か月未満の赤ちゃんがかかってしまうと,ゼーゼーが強くなり,哺乳も障害され,入院治療が必要になる病気です。有効な治療法はなく,ゼーゼーを抑えるために,吸入をさせたり,痰をきる薬を服用させたりします。このウイルスの潜伏期間は4〜6日です。兄弟が咳き込んでいる場合で,赤ちゃんに咳・鼻水の症状が出てきた時は,まずRSウイルスの検査をします。インフルエンザと同じで,鼻水を綿棒で採って,10分間くらいで判定できます。もし,赤ちゃんがRSウイルス陽性だったら,1週間以内に咳込みやゼーゼーがひどくなります。新生児の場合は,病気の初期に咳込んで息を止め,無呼吸発作を起こすことがあるため,注意が必要です。呼吸を止めて,顔色が青ざめることがあれば,入院が必要です。未熟児で生まれた赤ちゃんは,RSウイルスに対する抗体を毎月注射して,感染を防ぐ予防を行っています。1歳過ぎてRSウイルスに罹患しても,あまり重症になることは少ないです。時々,肺炎を合併して入院が必要になることがありますが,1歳以降で入院になる割合は1割もないと思われます。実際に,1歳以上の患者さんでは,RSウイルスの検査は保険がききません。1歳以上の子どもにとっては,RSウイルス感染症は重症度が低くなるからだと思います。それでも,気管支炎や肺炎を合併する時など,必要に応じてRSウイルスの検査をしています。

 

9月23日(月)〜26日(木)は休診となります。代わりに9月20日(金)と27日(金)は診療致します。

10月27日(日)は当番医を担当します。救急患者優先になります。

サンタ通信No241(08)裏 R1.08.18発行

インフルエンザに注意

 インフルエンザの患者さんが1人いました。2歳のお子さんで,B型のインフルエンザでした。最近はほとんど流行していないのですが,亜熱帯や熱帯地方,または南半球ではインフルエンザがこの時期にも流行します。夏休みには飛行機に乗る機会が多くなります。人の移動が多くなると,ウイルスを持つ人が移動して,居住地以外のところで流行を拡げることもあります。そのため,時々思いもよらない感染症を診ることになります。先日,アフリカのコンゴから帰国した日本人が発熱し,エボラ出血熱が疑われたものの,実際はインフルエンザだったというニュースを見ました。エボラ出血熱は致死性が高く,本当にエボラ出血熱だったら大変な事態になるところでした。世界中を多くの人が行き来しますので,遠いアフリカの怖い病気だから自分たちには関係ないと考えるのは危険です。10年前に新型インフルエンザがメキシコから始まり,あっという間に日本中に流行しました。あの時は空港で水際作戦として,防護服を着た空港職員が右往左往していましたが,ほとんど役に立たなかったようです。それよりは,感染症の危険度を客観的に分析し,診断や治療をどうするべきかを考えた方が現実的です。

涼しかった私の夏休み

 北の果てにあるアイスランドを1週間観光してきました。気温は7〜13℃くらいで,晴れて風がなければTシャツで歩いている人もいますが,曇りや雨で風が吹けば,ダウンジャケットや冬用のコートで歩く人もいます。1日の中に四季があるところと言われます。元々デンマーク領でしたが,1944年に独立しました。大きな一つの島になっていて,北海道と四国を足したくらいの面積です。その中に多くの火山があり,温泉も多いです。地熱発電が盛んで,全電力の20%を占め,そこで使われた熱水を温水として家庭にパイプで送るようにしています。それが暖房に利用されたり,風呂に利用されたりします。泊まったホテルもお湯の蛇口をひねれば,少し硫黄の匂いがする温泉が出てきます。ブルーラグーンという世界最大の露天温泉に入りました。青みがかった乳白色の温泉で,広さは50mプール4個分あります。この温泉に入るために世界中からお客さんが来ていました。また,この国では大きな滝が多く,電力の80%を水力でまかない,火力発電や原子力発電を使わない自然エネルギーの国です。風も強く風力発電にも向いているのですが,風車が乱立すると景観が損なわれるとのことで,使っていません。もちろん風力を使わなくても,十分な自然エネルギーがあるので,うらやましい限りです。

 島の中央部には広大な氷河があり,そのうちの一つヴァトナヨークトル氷河はアイスランドだけでなく、ヨーロッパでも最大の氷河になります。氷河から流れ出た川が,滝になり,アイスランドでは大きな滝をみることができます。黄金の滝という名のグトルフォスの滝やスコガの滝,裏側に回れるセリャランスの滝など観て回りました。天気が良かったため,虹が綺麗に見えました。また,5分間隔で20mくらい吹き上がるストロックル間欠泉も観光の目玉です。こんな大自然が堪能できるアイスランドは,地球の活動を直に感じられる場所です。北米プレートとユーラシアプレートの境目にあるため,その境目は年に数cmずつ広がっています。プレートの境目は大西洋中央海嶺と呼ばれ,普通は深い海の中にあるのですが,アイスランドだけはこの境目が陸の上にあり,実際に目にすることができるのです。

 この旅の中で,一回も現金を扱いませんでした。アイスランド・クローナという通貨がありますが,両替せずにクレジットカードだけで生活できます。ジュース1杯飲むのにも,トイレのチップ100円もクレジットカードで済ませます。確かに現金を持ち歩く必要がなく,財布にカードだけあれば,困ることはありませんでした。日本もキャッシュレス時代が来そうですが,究極のキャッシュレスがアイスランドだということを実感しました。