サンタ通信No240(07)表 R1.07.18発行

手足口病は終息傾向

 梅雨に大雨が降り,和田川が小学校の所で氾濫してしまいました。ネットに和田川の氾濫映像が出て,和田地区がどうなることかと心配しましたが,大きな災害にならずにすみ,安心しました。事前にテレビで大きな災害が起こりそうな大雨を予想していましたので,職員を早く帰したかったのですが,急な病気で来院される患者さんにとっては,病院が開いているかどうかは,とても大事なことですので,予定通り19時まで診療を行いました。ただ,和田川の氾濫だけでなく,谷山・中山間の高速も通行止めになったりしましたので,危機管理という意味では,避難指示が出るような災害の時は,情報を確実に得て,的確な判断が必要になるということを思い知りました。梅雨はまだ明けていませんので,これからも雨に注意が必要です。早く夏が来てほしいものです。

 さて,最近1週間(7月8日〜7月14日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは手足口病で,週16人でした。次いで,溶連菌感染症4人,ヘルパンギーナ3人,水痘2人,RSウイルス感染症2人でした。手足口病の大流行はそろそろ峠を越してきた感じがします。これまでにあまり診なかったタイプだったため,小学生の患者さんも結構いました。高熱が続き,発疹が大きく,いつもの手足口病と比べて,重い印象がありますが,幸いにも神経親和性が弱く,ウイルス性髄膜炎などの合併は少なかったようです。手足口病の好発時期は6月〜8月ですので,夏休みになれば減少傾向になるのではと考えています。解熱して食事が普通に摂れれば,登園許可を出しています。登園できる状態になったら,伝染はしないと思っている人が結構いらっしゃいます。登園できるようになっても,感染力はまだ残っていて,発病後1週間は咳やくしゃみで飛沫感染しますし,その後2週間は便の中にウイルスが排出されるので,子どものお尻やオムツに触れた時に,しっかり手洗いをしないと,周囲に感染を拡げてしまうことになります。しかし,感染がなくなるまで子どもを自宅に隔離すれば,感染は防げるのですが,あまり重症ではない手足口病で,3週間も登園させないのも現実的ではありません。そのため,感染する危険性は残っていても,患者さん本人が元気で,熱もなく,食事も普通に摂れるようになれば,周囲に感染を拡げる危険性は分かっていながら,登園の許可を出しているのです。治療について有効なものはなく,のどの痛みで水分が摂れない時に,点滴で水分を補給するくらいです。

 ところで,手足口病にかかった後は,二度とかからないと思っていませんか?手足口病は一つの病気のように思われますが,その原因ウイルスはコクサッキーウイルスA6,A16,A10,エンテロウイルス71などがあり,同じ型のウイルスに対しては免疫ができるのですが,他のウイルスによる手足口病にはまたかかってしまいます。ですから,一つのシーズンに,手足口病に2回かかる人もいます。

 

8月6日(火)午後〜8月14日(水)は休診です。8月15日(木)は診療します。

9月23日(月)〜26日(木)は休診となります。代わりに9月20日(金)と27日(金)は診療致します。

サンタ通信No240(07)裏 R1.07.18発行

子育ては難しい?

 千葉県で起こった栗原心愛ちゃんの虐待や,仙台での2歳の子どもに海苔巻き1本だけ与えて3日間留守にして死亡させた虐待など,本当に悲惨なニュースが後を絶ちません。自分の可愛い子どもなのに,親がそんなことをするなんて,皆さん信じられないですよね。しかし,人間の精神状態は,追い詰められると善悪の判断基準が無くなってしまい,自分を制御できないものなのです。それほど人間の心はもろいですから,普段から自分を律する訓練をしておかなければなりません。私が育った時代の日本では,三世代同居するような大家族がほとんどで,人に迷惑をかけるような悪い行為は,祖父や祖母,叔父さんなどからいつも怒られるものでした。今は核家族化で,両親と赤ちゃんしかいないので,人の道から外れた行動でも,それをたしなめる人がいません。自宅におじいさんやおばあさんがいれば,子守や看病などをお願いできるのに,今は朝から晩まで,自分で赤ちゃんの世話をしなければなりません。親に心の余裕がなくなると,イライラしながら赤ちゃんを抱っこしたり,授乳したりします。赤ちゃんはそのイライラを感じとって,泣いてしまいます。親はそれを見て,どうしてニコニコ笑わないのと,赤ちゃんに手をあげてしまうことがあるかもしれません。もちろん,お腹が空いたり,オムツが濡れて気持ちが悪い時には赤ちゃんは泣きますが,愛しさを感じながら赤ちゃんを抱くと,赤ちゃんは安心してすやすや眠ったり,キャッキャッと笑ったりします。虐待は,親に心の余裕がなくなった末の出来事なのです。

 一番大事なことは,イライラの解消法を持っていて,ストレスをため込まないことです。私はイライラする時には,ハワイアン音楽を聞いたり,図書館から借りた面白そうな本を読んだりして,心の安定をはかるようにしています。さらに,仕事を頑張るためのエネルギーとして,ダイビングを楽しんだり,旅行を計画して,心に燃料を入れるようにしています。医師は人の命を預かる,非常にストレスのかかる仕事です。自分が楽しく仕事をできるように,いつも自分の心の状態に気をつけながら,診療しています。自分に余裕がない時は,良い診療はできません。子育ても同じで,自分の心にゆとりがあれば,赤ちゃんが楽しそうに笑ってくれただけで自分も幸せな気持ちになるし,哺乳後に満足してうとうと眠る赤ちゃんを見るだけでうれしくなります。おむつが汚れて泣いた時も,きれいにしてあげて,赤ちゃんがニコニコ笑顔になれば,親としての満足感を得ることができます。自分に余裕がなければ,おっぱいを欲しがって泣いた時に,自己中心に考えて,赤ちゃんに振り回されていると感じるだろうし,オムツが濡れて泣くと,さっき替えてあげたのに,また汚したの!と被害に遭ったように感じてしまいます。考える視点を少し変えるだけで,生き方がずいぶん楽しくなるのです。

 さあ,子ども達の夏休みが始まります。子ども達にとっても,親にとっても,いい夏休みを過ごせたなあと思えるような,心の成長を感じられたらいいですね。いつでもプラス思考で行きましょう。そしたら,笑顔が増えますよ。親の笑顔が子どもを安心させ,子どもにも笑顔が増えます。