サンタ通信No224(03)表 H30.03.18発行

インフルエンザが終息

 B型インフルエンザの大流行で、今年の冬はバタバタしましたが、春の訪れとともにインフルエンザが終息してくれました。結局、A型はあまり流行しなかったので、来シーズンはB型が少なくて、A型が多くなりそうです。ところで、3月14日にインフルエンザの新しい薬「ゾフルーザ」が発売されました。内服薬でたった1回だけの服用ですみます。タミフルは1日2回5日間の服用が必要なので、ずいぶん治療が簡単になりますね。10歳代については、異常行動が起こりやすいとの理由で、タミフル内服が原則禁止でしたので、新しい薬が使えるようになれば、インフルエンザの治療状況が大きく変わるのではと期待されます。ただ、今シーズンは間に合わなかった印象ですが、来シーズンは、タミフルに代わる治療の柱になると思っています。新薬ですので、何が起こるか判りません。タミフルを使い始めた時も、便利な薬が使えるようになって、ほとんどのインフルエンザの患者さんに処方されましたが、使い始めてしばらくすると、10歳代の患者さんが、2階から飛び降りて亡くなったり、急に道路に飛び出して事故に遭ったりと、異常行動がマスコミで報道されると、タミフルは怖い薬だとの風潮が広がりました。今は、薬の影響よりは、高熱による意識混濁が原因だと考えられています。この新薬も使い始めて1年くらい経たないと正確な評価ができないと思われます。

 さて,最近1週間(3月5日~3月11日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは、感染性胃腸炎で週5人でした。次いで、手足口病4人、RSウイルス感染症3人、溶連菌感染症3人、インフルエンザ3人、突発性発疹2人、咽頭結膜熱1人、水痘1人、伝染性紅斑1人でした。いろいろな疾患が混在していますが、大きな流行にはなっていません。この季節は、溶連菌感染症が多くなります。冬季と春から初夏にかけての2つのピークがあります。特に今、新学期が始まり、新しいお友達ができる季節です。感染力の強い溶連菌も拡がりやすくなります。もし感染したら、抗生剤をしっかり服用して、再燃することがないようにしましょう。溶連菌は発熱と咽頭痛が主な症状で、時々身体に赤い細かい発疹が出ることがあります。また、嘔吐などの消化器症状を伴いやすいです。周囲で溶連菌の流行があれば、なるべく検査を受けるようにしましょう。のどを綿棒で拭うだけの迅速検査で、10分くらいで判定できます。治療終了後、1週間以内に発熱や咽頭痛がみられた時は再燃が疑われますので、早めに病院受診をしましょう。家族全員が発熱と咽頭痛を訴え、溶連菌陽性だったこともあります。

 RSウイルス感染症が週数人くらいの小さな流行ですが、冬からずっと続いています。RSウイルスは年長児が感染しても、強い咳が出るだけであまり重篤な症状にはならないのですが、新生児や乳児がかかると、無呼吸になったり、ゼイゼイが強くて哺乳ができなくなったりして、入院になってしまうことが多いです。小さなお子さんのいらっしゃる家庭では、咳をしている人との接触を避けるようにしましょう。このRSウイルスの迅速検査も、インフルエンザと同じように、鼻の中を綿棒で拭うだけですぐ判定できます。この検査は、1歳未満の新生児・乳児だけに保険適応が認められていて、1歳以上は自費での検査になります。それは、1歳未満の赤ちゃんにとっては大変怖い病気なのですが、年齢が大きくなると、咳や喘鳴がひどくなることもありますが、命に関わるような状態にならないからです。また、特効薬がなく、咳止めの薬を飲みながら、治るのをじっと待つしかないからです。登園できる目安は、発熱や咳などの症状が消失し、全身状態が良くなってからとされています。

 

 4月30日(月)振替休日は当番医を担当します。

 5月1日(火)〜5日(土)は休診となります。また、5月31日(木)は学会出席のため、休診となります。

サンタ通信No224(03)裏 H30.03.18発行

学校、幼稚園、保育所において予防すべき感染症の解説

 日本小児科学会のホームページに感染症についてまとめた項目があります。病気についてはネット上にいろいろなサイトがありますが、信頼性という面では首をかしげるような情報も多いのが現状です。小児科学会や国立感染症研究所などの公的機関から出される情報が一番確実です。よく診る感染症について、小児科学会がまとめた情報を提示します。参考にされてください。