サンタ通信No201(04)表 H28.04.18発行

インフルエンザが終息傾向

 鹿児島では,桜の開花が少し遅く,3月末に指宿に行きましたが,魚見岳や池田湖の周囲はまだ咲いていませんでした。フラワーパークではチューリップとポピーがきれいに咲き誇っていて,久しぶりにいろいろな植物を見て回り,リフレッシュすることができました。指宿のホテルも中国人,韓国人が目立ちました。でも,残念だったのは,若い中国人数人が,露天風呂でスマホを持ち込んで記念写真を撮っていたことです。確かにきれいな風景をバックに,露天風呂で自分たちの写真を撮ると海外旅行の記念にはなります。でも,公共の場で,裸の人が多い場所では,写真撮影はマナー違反になると心配りができていないようです。言葉の問題もあり,外国の人に注意する人はいませんでした。欧米ではマナーについて,家庭で厳しく教育しますが,アジアの国々では,まだまだマナーの分野は途上国だと感じます。日本の経済も海外からの訪日客に頼っている一面もあります。もてなす側の気配りも大切ですし,日本で受けた親切や風景に感動して,また日本を訪れたいと思ってもらうことも大切です。でも,日本の文化について,訪れる側に勉強してもらうことも大切です。団体旅行の時は,添乗員が注意事項などいろいろ教えてくれますが,個人旅行の時は,自分の判断で行動します。そこには,訪れる国を尊ぶ心が必要だろうと私は思います。

 さて,最近1週間(4月4日~4月10日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,溶連菌感染症で48人でした。次いで,インフルエンザが16人,感染性胃腸炎11人,おたふくかぜ6人,突発性発疹5人,水痘3人,RSウイルス感染症1人,咽頭結膜熱1人でした。全体的に感染症の数が減少してきました。冬の忙しかった時期から,そろそろ普通の忙しさの小児科外来に戻りつつあります。内科では,持病の治療で定期的にかかる患者さんが多くを占めますが,小児科では9割以上が発熱など感染症で来院されます。そのため,小児科医は,感染症の流行する時期はとても忙しく,夏には反対に暇になってきます。年間を通して仕事量の増減が著しいのが小児科の特徴ですが,最近では予防接種の種類が増えてきて,仕事量の3割くらいを占めるようになってきましたので,昔よりは季節による仕事量の増減が緩和されつつあります。

 ところで,インフルエンザが終息に近づいてきました。患者数は,1日2~3人になってきました。A型:B型の割合は4:6で,B型が多いのですが,流行終盤にはほとんどがB型でしたが,B型が少なくなるにつれて相対的にA型も目立ってきました。しばらくはどちらの型も警戒が必要です。昨年10~12月に受けたワクチンは,この時期になると,ほとんど効果がなくなります。周囲でインフルエンザの流行情報があった時には,用心していただき,もし発熱があれば,インフルエンザの検査を受けましょう。周囲に患者さんがいない時は,インフルエンザの可能性はかなり低くなりましたので,急な高熱やからだの痛みなど,典型的な症状の時に検査をするようにしています。インフルエンザの流行が遅くまで続いた年では,5月のゴールデンウィークを過ぎた頃に終息しています。あと1か月間は注意しておきましょう。

 

 感染性胃腸炎も,ピークは過ぎてきました。今の感染性胃腸炎は,ほとんどがノロやロタなどのウイルス性です。鹿児島市では,昨年からロタウイルスワクチンの公費補助が始まって,接種される方が多くなりました。その効果と思われますが,今冬の嘔吐下痢症の患者さんが少なかった印象があります。一方,細菌性の胃腸炎は気温が高くなると,食材が傷みやすくて,鶏刺しのカンピロバクターや生卵のサルモネラ,おにぎりの黄色ブドウ球菌など,細菌が胃腸炎を起こしやすくなります。これからの季節は,注意が必要です。

 

 5月のゴールデンウィークは2~6日が休診です。

 5月14日(土)と6月4日(土)はともに学会のため,休診となります。

サンタ通信No201(04)裏 H28.04.18発行

おたふくかぜを知ろう

 最近,おたふくかぜが多くなってきました。おたふくかぜはムンプスウイルスが感染することにより,発症します。症状は両側の唾液腺の腫れと痛み,発熱です。まれに片側だけの腫れですむこともあります。唾液腺は耳たぶの下にある耳下腺と顎の下にある顎下腺,舌の下にある舌下腺ですが,大きいのは耳下腺と顎下腺です。左右にそれぞれありますので,腫れる場所としては,合計6カ所あり,全部が腫れてくると,顔が変形してみえるくらいに腫れます。発熱は数日間で解熱しますが,熱が出ない場合もよくあります。治療方法としては,特効薬はなく,自然に治まるのを待ちますが,耳下腺の痛みが強い時は,痛み止めの薬を使うことがあります。合併症としては,ウイルス性髄膜炎,難聴,精巣炎,卵巣炎,膵炎があります。おたふくかぜの患者さんの1~2%にウイルス性髄膜炎が起こります。経過は比較的軽症ですみますが,まれに脳炎を起こすと重症になります。難聴は1000人に1人の割で起こり,ほとんどが片側だけですみますが,難聴になってしまうと回復は難しいです。精巣炎や卵巣炎の合併率は,思春期以降の人が感染すると,精巣炎で20~40%,卵巣炎で5%の確率になります。

 

 感染力は発症前7日から発症後9日まで唾液中にウイルスが検出されますが,感染力が強いのは,発症前2日から1週間です。飛沫感染,接触感染で感染し,2~3週間の潜伏期を経て発症します。予防については,ワクチンが30数年前からありますが,未だに定期接種化されません。国は定期接種化する方針を示しているのですが,いつから定期接種にできるのかが不明です。その理由は20数年前に,麻疹・風疹・おたふくかぜの新三種混合ワクチン(MMRワクチン)ができて,定期接種として数年間使われました。効果が良くて,おたふくかぜもずいぶん減ったのですが,副反応で無菌性髄膜炎の発生が予想したよりも高かっ

たのです。このワクチンで死亡する人はいませんでしたが,500人~1000人に1人の割で無菌性髄膜炎を起こしました。このため,MMRワクチンは中止となり,もっと安全で効果の高いワクチンを作るべきだという方針になり,現在まで定期接種になっていません。今皆様が受けているおたふくかぜ単独ワクチンは,MMRワクチンよりも副反応は少なくなっているので,ご安心ください。一方で,ワクチンの安全性を高めると,効果が落ちてしまい,反対に効果を高めると,安全性が落ちてしまいます。海外で使われているワクチンは,まず安全性を第一に考えています。日本もそれに倣ってほしいものです。

診療日と診療時間に注意しましょう

 5月から豊島副院長が退職となり,私1人の診療体制になります。そのため,診療日を週休2日にして,診療時間も1日8時間働く形をとらせていただきました。これまで医師が二人いると,学会出張や医師会の会合など,交代で出席できたのですが,1人体制では,休診にして参加するしかありません。

 早速,5月に日本小児科学会が札幌であり,6月は日本小児神経学会が東京であります。私はどちらの学会も専門医の資格を持っていますので,資格を継続するためには,学会参加を求められます。診療にあまり影響が出ないように,日程を調整して参加するのですが,それでも休診日が生じてしまいます。日本小児科学会は,離島で働く小児科医が学会参加できない場合などを考えて,ネットでセミナーを受講して,その単位を認めてくれるようなサービスをしています。もちろん,セミナー受講後に,ちゃんと理解できたか,採点した上で単位を認めてくれます。ほとんどの医師が休みになる日曜日に学会が開催される傾向がありますので,私のように日曜日を診療日にしていると,学会出席ができなくなるのが悩みの種でしたが,この自宅で受講できるセミナーを利用して,たくさん勉強し,専門医の資格を継続できていますが,日本小児神経学会にはそのような配慮がなく,全国学会への参加が求められます。

 

 小学校の校医や保育園の園医の仕事も,この時期にはたくさんありますが,その仕事は,病院に影響がでないように,病院の休診日に当ててもらっています。自分が勉強したい講演会も,そのほとんどは夜7時くらいから始まります。診療終了後に会場まで走っても,なかなか間に合わないため,診療を予定よりも1~2時間早く終了することが時にあります。いつも診療している時間内だからと直接来院されて,そこで診療終了を知り,当院の前で困ってしまっている患者さんを見かけます。皆様,どうぞ受診する前に,電話で予約をされてくださいね。診療水準を高く保つためには,学会や講演会を通して,勉強することが大切です。皆様のご理解とご協力をお願い致します。