サンタ通信No199(02)表 H28.02.18発行

   インフルエンザがピーク

 小児科医の一番忙しい時期がこの2月,インフルエンザがピークを迎える時です。日曜当番医を担当した先生から,朝早くから夜まで,食事やトイレもなしで,診療に追われて大変だったというメールが毎週のように届きます。しかし,当院では,当番医以上の患者数になっていて,当番医よりも終了時間は遅くなっています。2月だけでも良いので,日曜日の当番医を2軒体制にしてほしいものです。行政を動かすのは,住民の声です。インフルエンザの流行時期に,小児科当番医が足りないという意見が多く寄せられたら,鹿児島市も動いてくれるでしょう。当院も日曜日には,電話が鳴り続け,朝10時くらいには1日の予約枠がすべて埋まり,それ以後の予約は受けられない状態です。予約なしで直接来られる患者さんも多く,小児科の場合は,完全予約制にして,予約以外の患者さんをすべて断るという訳にはいかないため,待ち時間が長くなっても,受けざるを得ません。日曜日がそれほど大変な仕事になるのであれば,当院でも他の病院と同じように日曜を休診にすれば,私の仕事は格段に楽になります。でも困るのは患者さんです。熱のある赤ちゃんを抱いて,4~5時間も病院の前で待たなければならない状況を考えると,自分ができる限りは日曜診療をしてあげたいと,疲れた身体にむち打って,診療を続けています。

 さて,最近1週間(2月8日~2月14日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,インフルエンザで163人でした。次いで,溶連菌感染症81人,感染性胃腸炎18人,水痘2人,RSウイルス感染症2人,伝染性紅斑2人,突発性発疹2人,おたふくかぜ1人でした。インフルエンザの流行が大きくなってきましたが,その内訳ではA型83人,B型73人とほぼ同数になっています。流行状況は,過去の流行と比較して,そろそろピークの時期だろうと感じています。去年は週に200人を超える流行になっていましたが,今年は流行開始が非常に遅かったせいで,大きな流行規模にならなかったことと,現時点でB型が半分を占めていることを考えると,そろそろ流行の後半になってきていると思います。また,流行がいつまで続くのかが気になりますが,こればかりは経過をみていくしかありません。インフルエンザの診断は,発熱後12時間くらいの検査が,一つのめどですが,今半分を占めているB型は陽性に出るのが遅く,24時間後くらいにやっと陽性に出る方もいらっしゃいます。また,37℃くらいの微熱を発熱開始と考え,そこから12時間で,検査を希望されることもあります。インフルエンザは急に高熱が出てきますので,そこから12時間くらい経って,検査を受けられると,まず,インフルエンザであれば陽性にでます。早く薬がほしいという気持ちも分りますが,元々インフルエンザは自然に回復する病気です。熱が出たからと,直後に病院に行き,そこで検査はまだできませんと言われ,12時間後に再度病院を受診した時に,検査で陰性と言われ,翌日に再診して,ようやくインフルエンザが陽性と診断され,治療薬をもらうということもよく経験します。抗生物質と違い,インフルエンザの薬は,ウイルスを殺す薬ではありません。増殖を抑えるだけですので,最終的に病気を治すのは,自分の身体の働きです。全身状態を良好に保っておけば,インフルエンザはしっかり治ります。薬を使えば,確かに高熱の期間が,薬なしの時より1~2日間は短くなります。しかし,この薬の効果は診断後早期に開始した時の効果であって,遅くなればなるほど効果は期待できません。また,インフルエンザに隠れていますが,溶連菌感染症も週81人と非常に多いです。インフルエンザと溶連菌と同時感染している人も結構います。どちらか一方の治療では熱が下がらないので,熱が続く時には,どうそ再受診されてください。

 

 3月21日(月)(振替休日)は当番医です。救急患者の方が優先となります。

 4月以降は,診察日の変更があり,火曜日と金曜日が休診となります。同時に診療時間も変更ありますので,是非予約後に来院を。

サンタ通信No199(02)裏 H28.02.18発行

    4月から火曜日と金曜日が休診です

  職員確保が難しく,やむなく4月から診療日と診療時間を縮小することにしました。休診日がこれまでの火曜日に加えて,金曜日も休診とさせていただきます。また,夜の診療時間も夜8時までとなっていましたが,これを夜7時で終了とさせていただきます。日曜診療をこれからも続けるためには,現在の診療時間で続けることは困難だと判断しました。日曜日はこれまで通り,朝9時から夜6時まで頑張りたいと思います。診療体制が大きく変わりますので,受診時にはご注意ください。ご迷惑をおかけしますが,ご了承いただければ幸いです。

     B型肝炎ワクチンが定期接種に

 厚生労働省の予防接種部会で,今年の10月から,B型肝炎のワクチンを定期接種にすることが決まりました。原則,無料となります。対象児は今年4月以降に産まれる赤ちゃんで,生後2か月,3か月,7~8か月の時に1回ずつ,計3回接種します。母親がB型肝炎のウイルスを持っている場合は,母子感染予防事業により,出生12時間以内に1回目の接種をしますので,一般の健康保険を使った治療になります。

 一時,化血研の不祥事で,ワクチン供給が止まり,当院でも新規のB型肝炎ワクチンの予約を取れない状況が続いていました。このB型肝炎ワクチンは,化血研とMSDの2社だけがワクチンを作っていましたので,半分の製品が出荷停止になり,どこの医療機関も,ワクチンが手に入らずに困っていました。化血研のワクチンも,品質には問題がないということで,ようやく国から承認されて,ワクチンの出荷が再開されました。そのため,今後は不足することはないようです。ワクチンが十分供給できるという見通しが立ったので,定期接種化が認可されたようです。原則,無料になるはずですが,詳しくは今年秋頃に,行政から接種券が送られてくるのではと思います。無料化には間に合わなかったけど,集団生活に入る前に受けておきたいというお子さんに対しては,自費になりますが,3回の接種を考慮されてください。集団生活の中で,唾液や体液を介して感染する危険性があるため,これを防ぐためのワクチンです。このB型肝炎ワクチンは,年齢は何歳になっても受けられます。ちなみに当院では,1回の料金が5,000円になります。