サンタ通信No190(05)表 H27.05.18発行

 新緑の季節は自転車が気持ちいい新緑の季節は自転車が気持ちいい

 今の季節は,風がさわやかで,それほど暑くはないので,休日で天気の良い日はなるべく自転車に乗るようにしています。宇宿のスポーツジムに自転車をこいでいくと,ちょうどよい準備運動になります。一般道を自転車で走るのは,非常に怖いですが,産業道路に緑地帯が造られているため,交通安全センターの所から宇宿まで歩行者・自転車専用路を安全に走ることができます。自転車は開業後に購入しましたので,15年くらい乗っていますが,ベルを固定するベルトが切れたことと,虫ゴムを交換したくらいで,今でも十分現役です。また,私が使っている古い物としては,開業前に購入したマラソン用のランニングシューズもあります。指宿のフルマラソンを16年前に走った後,そのまま使い続けていますが,いまだにその靴でジムを走っています。そろそろ新しい靴に替えたいと思ってはいるのですが,現役の靴を捨てるのに抵抗があり,できる限り最後まで履いてあげようと思っています。しかし,靴に関しては,苦い思い出もあります。お気に入りの歩きやすいウォーキングシューズを以前に持っていて,毎日そればかりを履いていました。かなりくたびれてきていたので,家内から早く捨てるように注意されていましたが,履きやすいという理由で,海外旅行に行く時も必ずその靴でした。1年半前にカンボジアのアンコールワットの遺跡を歩き回っていた時に突然,靴底が大きくはがれて,歩くたびにパタンパタンと音がするようになりました。周囲の人に気づかれないように,すり足で歩き回りながら,途中の靴屋さんに走り込み,新しい靴を買い求めました。とても恥ずかしい思いをしました。この時に「物には限度がある!」と痛感しました。

 さて,最近1週間(4月27日~5月3日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは,溶連菌感染症で75人でした。次いで,感染性胃腸炎22人,伝染性紅斑8人,RSウイルス感染症4人,インフルエンザ4人,水痘3人,ヘルパンギーナ2人,咽頭結膜熱1人,手足口病1人,おたふくかぜ1人でした。当番医を担当した週ですので,少し患者数が多めですが,依然として溶連菌感染症と感染性胃腸炎が多いです。溶連菌感染症については,少しピークを過ぎて減少傾向がみられますが,まだまだ多いです。夏までは今の流行状況が続くと考えています。感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)も冬に多い病気ですが,現在まで流行が続いています。半日から1日嘔吐が続き,水様下痢が少し遅れて出現します。発熱を伴うこともたまにあります。ロタウイルスについては,ワクチンが7月から鹿児島市の公費補助事業として始まります。これまでの半額程度でロタウイルスのワクチンを受けられますので,接種希望者が多くなると,来年の冬場の嘔吐下痢の患者数がかなり減るのではないかと期待しています。また,このワクチンは初回接種が生後15週を越えると腸重積という病気を引き起こしやすくなりますので,初回接種は14週6日までに行うことになります。詳しくはこの通信の前号に載せていますので,参考にされてください。

 インフルエンザはかなり少なくなりました。時折,クラスに患者発生があったとのことで検査をしてみると,B型が陽性になる人が,週に1~4人程度います。完全に終息するのは6月頃かもしれません。なお,奄美地方は最近まで,週に10人以上という注意報程度の流行が残っていましたので,周囲で奄美に行かれた方がいらっしゃる場合は気をつけましょう。

 夏カゼの手足口病やヘルパンギーナが少しずつ診られるようになりました。これから3か月くらいは流行期になります。学校や保育園での流行に注意しておきましょう。予防はうがい・手洗いです。家庭でも励行しましょう。発熱や発疹などの主な症状が消失しても,数週間は便にウイルスが排出されますので,ご注意ください。

 

 7月26日(日)は当番医を担当します。救急患者の方は受診されてください。

サンタ通信No190(05)裏 H27.05.18発行

 校医の仕事

 和田小学校の校医になって,9年になります。5月は毎週のように内科健診に学校へ出かけます。病院の仕事に支障が出ないように,休診日の火曜日に小学校の健診日を入れてもらっています。1回の健診で1学年全員を診察しますので,2時間くらいかかる仕事です。心臓の音を聴いて,心臓の雑音がないか?呼吸する音を聴いて,喘息や気管支炎の音がしないか?低身長や肥満もチェックします。身体の姿勢や皮膚の状態,頚のリンパ節,眼球結膜の貧血,甲状腺の腫れなども診ていきます。ほとんどの子ども達は,異常なしと判定して,家庭に通知されることはありませんが,身長が平均と比べ,-2SD(標準偏差)を越えて小さな身長の場合は,成長ホルモンの分泌不全による低身長で,治療可能な場合があるため,家庭に通知してもらい,病院を受診して,検査を行います。標準偏差というのは,身長のばらつきを示す値で,ほとんどの人は平均±1SD以内に入ります。±2SDを越える場合は,病的に高身長あるいは低身長ということになり,詳しい検査が必要になるわけです。

 体重も肥満度25%を越える場合は肥満傾向と判定し,肥満度35%を越える場合は肥満と判断して,家庭に通知します。この肥満度35%を越える場合は,血圧や腹囲を計り,血液検査で高脂血症などがないか,詳しい検査が必要なため,夏休みに小児生活習慣病検診を受けるように,学校から書類を渡されます。子どものうちに肥満を指摘して,食生活や生活習慣を見直したら,肥満が解消することは,よくありますが,大人になってから,肥満を改善しようとしても,ほとんどの人は肥満から抜け出せないという研究結果が出ていて小児の生活習慣病予防という概念が確率されました。小児の時期でも,高度肥満(肥満度50%以上)になってしまうと,改善が困難なため,肥満度25~35%の軽い症状のうちに,家庭での対策を考えようとしているわけです。お子さんが肥満傾向と通知されたら,家庭での食生活や運動など,家族全員で見直し,夕食が遅い時間になっていないか,夜型の生活になっていないか,お菓子や清涼飲料水を摂り過ぎていないかといった点を見直してください。どこかに問題が見つかるはずです。

 心臓病や腎臓病・糖尿病は心電図検査や尿検査で異常を発見するシステムができています。その病状により,学校生活管理指導表を使って,運動をどのくらいしてもよいか,学校行事にどれくらい参加できるかなどを決めます。学校に尿を持っていくと,血尿や蛋白尿がないか検査して,1回目に異常があれば,2回目の検尿を指示されます。病気ではないけれども,生理による血尿なども紛れ込みますので,2回検査をして判定します。それで異常があれば,病院を受診し,さらに詳しい尿検査・血液検査をします。その結果を基に,腎臓専門の先生達が判定委員会を開いて,管理区分を決めます。月1回検尿をしましょうとか,激しい運動は避けましょうとか,指示がでます。心臓も心電図で異常があれば,心臓の専門の先生達による判定委員会にかけられて,管理区分を指示されます。

 学校医の仕事は,医師会の中で,地域に根ざした活動の一環として行われていますので,医師会の役員の先生から,この小学校の校医をお願いできませんかという依頼がきます。多い先生は,3校くらいの校医を担当されている方もいらっしゃいますが,私は日曜診療を16年行ってきて,地域医療に少しは貢献しているからと,和田小以外の校医は受けていません。しかし,小児科医が少なくて,しかも高齢化が進みつつあるため,現在校医になっている先生方が,退職して校医も辞退されると,将来は校医のなり手がいないという状況に陥るのではと,危惧しています。国の方では,総合医という形で,内科・小児科・救急を必ず研修し,外科・整形外科・産婦人科も研修させて,地域のかかりつけ医として,配置したいようです。その人達が校医もするようになるのでしょうが,そんなシステムが順調に動き出すまで最低でも20年くらいはかかるでしょう。それまでに校医の制度が破綻しなければよいのですが。