サンタ通信No185(12)表 H26.12.18発行

  嘔吐下痢症とインフルエンザに注意!

 今年も残りが少なくなり,慌ただしい年の瀬を迎えています。皆様いかがお過ごしですか。私は,仕事が山積みの状態で,好きなダイビングに行ける余裕はなく,一つの仕事を済まそうとすると,新たな仕事が生まれてしまいます。なぜ,師走はこんなにも忙しいのでしょうか。「これもしておけば良かった,あれも」と,今年やり残した仕事が目に入るためかもしれません。誰もが新しい年を清々しい気持ちで迎えたいですからね。当院が開院してこれまでに15年以上経過しました。日曜診療や夜20時までの診療を今まで続けてこられたのも,皆様のご協力がいただけたからだと感謝しています。来年も皆様に愛されるかかりつけ医であり続けたいと考えています。どうぞよろしくお願い致します。

 さて,最近1週間(12月8日~12月14日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは溶連菌感染症で56人でした。次いで,感染性胃腸炎43人,インフルエンザ4人,水痘4人,RSウイルス感染症3人,咽頭結膜熱3人,手足口病3人,ヘルパンギーナ2人,突発性発疹2人でした。溶連菌感染症が依然として多いですが,ノロウイルスやロタウイルスなどの感染性胃腸炎(嘔吐下痢症)が急増してきました。冬場に多い感染症です。嘔吐物や便を介して感染します。食事前の手洗いとトイレ後の手洗いをしっかりとしましょう。嘔吐下痢の症状が出現した時には,水分摂取を第一に考えます。ただし,嘔吐が強い時は,数時間絶食にして,嘔吐が少し落ち着いてから,座薬や内服薬で嘔吐を抑えながら,水分を少しずつ与えます。嘔吐下痢用の経口補水液OS-1が,点滴と同じ成分になっていますので,スプーン1杯から始め,数分毎に少しずつ増やして飲ませてください。味見をしてみると分りますが,かなりしょっぱくて,病気でない時は,飲みづらい感じです。でも,脱水できつい時は,体に必要な成分になっているため,子どももよく飲んでくれます。OS-1が飲めない時には,市販のイオン飲料でも構いません。嘔吐は半日から1日経過すると,自然に落ち着いてくることが多いです。下痢は嘔吐から少し遅れて始まります。泥のような便になったり,水のような便が出ます。白い便や灰色の便になる時は,ロタウイルスが疑われます。便に血液が混じる場合は,腸重積や病原大腸菌による腸炎など,緊急性の高い病気が考えられますので,早く病院を受診するようにしましょう。

 インフルエンザが全国的に流行期に入っています。当院でも多くなってきました。現在週4人で,A型が2人,B型が2人の内訳です。全国的にはA型が主体です。例年,年末年始の帰省などで,流行が拡散されて,1月中旬くらいから患者数が急増します。インフルエンザの予防接種が,まだ済んでいない方も多いようです。早めの接種が良いでしょう。溶連菌感染症も依然として多い中,インフルエンザが流行すれば,発熱時の検査として,溶連菌とインフルエンザの両方の検査が必要になってきます。溶連菌は発熱後いつでも検査が可能ですが,インフルエンザは発熱後12時間経過してから検査することが必要です。慌てて病院へ走るのではなく,「もしかしたらインフルエンザかも」と疑って,半日くらいは自宅で看病してあげて,それから病院を受診すると,診断するのにちょうど良いタイミングになると思います。お子さんの体調を半日看てあげると,水分をどれくらい摂れているのか,嘔吐や下痢の腹部症状を伴っていないかなど,全身状態を把握する上で,貴重な所見を得ることができます。病院で医師が子どもの状態を一目診るよりも,家庭で半日看たご家族の印象の方が正確だと考えます。水分が摂れていない時やけいれんなどの症状があれば,すぐに受診してください。

年末年始は12月28日(日)~1月4日(日)が休診となります。1月3日(土)は当番医を担当します。救急患者の方は受診されてください。

サンタ通信No185(12)裏 H26.12.18発行