サンタ通信No176(03)表 H26.03.18発行

          春を楽しもう

 気候がようやく春らしくなってきました。朝起きた時にあまり寒さを感じず,日中の日差しは暖かです。庭に放置しているシャコバサボテンとシクラメンがきれいなピンク色の花をいっぱい咲かせてくれました。全く手入れをしてあげていないのに,よく育つと感心します。シンビジウムも肥料をあげていないせいで,花は小さいですが,毎年,花芽をつけてくれ,春を感じさせてくれます。私が下手に手入れをしていないことが,花にとってありがたいのかもしれません。いろいろと手を加えて,根腐れさせたり,萎れさせたりすると,自分の才能の無さにがっかりしてしまいます。自然に任せていると,置かれた厳しい環境が,そこに適応できる強い植物を作ってくれます。人間も苦労をしてきた者は,しぶとく生きることができるように思います。今がきつくて,投げ出したくなる状況でも,頑張って続けていると,運が開ける時が来ます。降り止まない雨はない。いつかは雨が止み,虹が出るものなのです。その時に得る幸せは,それまでに乗り越えてきた苦労があるからこそ,輝いてきます。"No Rain No Rainbow"というハワイの言葉は,今の日本にとって大切な教えのような気がします。

 さて,最近1週間(3月10日~3月16日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのはインフルエンザで64人でした。次いで,溶連菌感染症50人,感染性胃腸炎24人,水痘10人,咽頭結膜熱5人でした。インフルエンザは峠を越えて,減少傾向が続いていましたが,B型の流行で再び増加してきています。3月いっぱいは,今のような流行が,まだ続きそうです。インフルエンザの診断は,発病後12時間くらい経ってから,迅速検査をするようにしていますが,B型は検出しにくくて,発病後12時間での検査が陰性で,カゼとして治療をしているのに,なかなか熱が下がらない。念のため,発病後2~3日後にもう一度検査をして,ようやくB型インフルエンザだったと診断することも多いです。治療のタイミングを過ぎてしまい,自然に治るのを待たなければならなかった人は,そのおかげで,B型に対する抗体は確実に上がります。数年はB型にかからずにすむかなと,物事をポジティブに考えるようにしましょう。インフルエンザに罹患しても,元気な子ども達や基礎疾患のない大人であれば,インフルエンザは自然経過で回復していきます。ただ,高熱でおかしな言動がみられる場合や,水分摂取が不良になった場合などは,必ず病院を受診しましょう。特に乳幼児については,抗ウイルス剤を使い,軽く済ませる方が良いと私は思います。

 溶連菌感染症も依然として大きな流行が続いています。溶連菌は感染力が強いため,家庭内や学校・保育園などで,よく集団感染が起こります。4月にクラスが替わり,そこで流行することがしばしばみられますので,今の流行規模から考えると,4月いっぱいは流行が持続するのではないでしょうか。溶連菌感染症の主な症状は発熱とのどの痛みです。これに加え,時々体に入浴後に肌が赤くなるような感じの発疹で,手足や股,脇の下などに赤い細かい発疹が出ることがあります。身体が赤くなるという意味で,昔は猩紅熱と呼ばれていました。舌がイチゴのように赤くなることも多く,苺舌と言われます。このような症状があれば,溶連菌を疑って迅速検査を行います。のどの奥を綿棒でぬぐって,10分くらいで結果が出ます。溶連菌感染症の治療は,抗生物質がよく効きます。ペニシリン系やセフェム系の抗生物質を1週間服用します。この2系統の抗生物質に対して,抵抗性をもつ溶連菌は確認されていませんが,口の中にいつも存在している雑菌の影響で,抗生物質が効きにくくなることがあります。また服用が不十分であると,治療終了後1~2週間以内に再燃してくることがあります。その時は,服用期間を10日間あるいは2週間に増やします。抗生物質の種類を替えるのも対策の一つです。

 

ゴールデンウィークは暦通りの診療体制になります。5月18日(日)は当番医を担当します。

サンタ通信No176(03)裏 H26.03.18発行

 

ご 意 見

回   答

 遅くに予約なしで来たのにもかかわらず,親切な対応,本当にありがとうございました。

 待ち時間が長くなってしまったのではないでしょうか。土・日曜日は混雑しますので,是非ご予約を。

 みんな笑顔でやさしい方ばかりで,びっくりしました。ありがとうございます。

 喜んでいただき,スタッフ一同うれしく思います。これからもがんばります。

 いつもお世話になってます。息子が久々に体調を崩し,診察予約した後に息子が吐いてしまい,予約時間が終わる30分前だったので,他の病院に行こうと電話した所,「予約優先になりますが,空いている所でお子さんの体調をみながら診察しますので,早めに連れてきていいですよ」って言われたので,すごくうれしかったです。息子も家ではぐずぐずで,親の自分もどうしていいか焦っていたので,その言葉が心を落ち着かせました。これからもガンバって下さい。息子もサンタが大好きです。

 良い対応ができて,私もうれしいです。お子さんの病状が変わった時は,遠慮なさらずに,いつでもお電話ください。可能な範囲で臨機応変に対応させていただきます。

 いつも丁寧に診て頂き,子どもも先生が大好きなようで安心して連れて来れます。サンタこどもクリニックさんのホームページ開設の予定はないのでしょうか?診療時間や休診日サンタ通信など,ネットで見られると助かるのですが。

 診療時間や場所を載せた簡単なホームページはあります。サンタ通信は技術的な問題で、残念ながらまだ奮闘中です。

http://santachildren.jimdo.com/

 ホームページやブログ等で流行中の感染症情報など発信して下さるとありがたいです。

 Macで今のサンタ通信作っているため, どんな形でアップするがいいのか,検討しますね。

 

         ロタウイルスとノロウイルスの違い

 感染性胃腸炎,いわゆる嘔吐下痢症の主な原因ウイルスは、小児ではロタウイルスが25~30%、次いでノロウイルスが15-20%と言われています。ロタは昔,冬季乳幼児下痢症と呼ばれ、冬に多い感染症でしたが,その流行時期が次第に2~4月まで延びてきています。ノロは11~1月に流行の中心があり,ロタより早く始まります。好発年齢はロタが1歳前後が中心で,3~4歳までにほとんどの子どもが感染を受けます。その後も,繰り返し感染しますが,年長児や成人では症状はほとんど出ません。ノロは好発年齢が乳幼児から学童と年齢層が広くて,ロタよりも高めです。大人はノロに対する抗体を獲得していると考えられていますが,抗体を持っていてもなお,繰り返し感染し,嘔吐や下痢の症状が現れます。

 症状の違いは,ロタでは白色便が有名です。水のような下痢便から泥のような便まで固さは様々ですが,便の色は白っぽいのが特徴です。ノロの便は色に特徴はなく,水のような便が多いです。どちらのウイルスでも,嘔吐と下痢がほぼ全員にありますが,発熱については,ロタの時には8割くらいの人に発熱がみられるものの,ノロでは1~2割くらいの人が発熱します。年齢と発熱の有無をみると,どちらのウイルスが疑わしいか,ある程度予想はできます。

 では,ロタとノロでは,どちらが重症になるのでしょうか。ロタが低年齢の子どもに多く,発熱も多くみられることから,ノロよりも重症化しやすいと思われます。入院して治療が必要になるのも,ロタが多いです。ロタの場合は死に至るケースも毎年2~18人ほど報告されており,ロタでの重症化を防ぐために,ワクチンが開発され,現在,任意接種になりますが,1価と5価の2種類のワクチンを受けられます。接種時期は,1価が生後6~24週の間に2回接種します。5価は生後6~32週の間に3回接種します。どちらのワクチンも1回目は14週6日までに接種することが推奨されています。ノロについてはワクチンはありません。

これらのウイルスにより起こる軽症下痢で,けいれんを繰り返し起こすことがあります。この場合もロタの時に起こりやすいということがよく知られています。しかし,ノロでも同様にけいれんを起こしますので,どちらの場合でも乳幼児では注意が必要です。

 潜伏期間はロタが2~4日,ノロが1~2日です。どちらも患者の嘔吐物や便を触れた手を介して,人の口に入って感染します。ノロの場合は,カキなどの2枚貝を生食することでも感染します。室内の嘔吐物が乾燥して,空中に舞い上がり,それを吸い込んで発症することもあるため,嘔吐物の処理は手袋を使って,台所用ハイターなどの塩素系漂白剤を薄めてペーパータオルにしみ込ませ,しっかり拭き取るようにしましょう。便や嘔吐物を触った後の手洗いも,十分時間をかけて,手指の間まで洗い落とすことが必要です。