サンタ通信No177(04)表 H26.04.18発行

       ウォーキングに最適の季節

 街中の花が,桜からツツジに変わり,過ごしやすい季節になりました。スギやヒノキの花粉症もシーズンが終わり,アウトドアに最適な季節です。お休みの日に,家でゴロゴロしているのはもったいない。家の周りをウォーキングしたり,ハイキングに出かけてみませんか?近くの慈眼寺公園は散策するには,もってこいの場所です。さらに足を伸ばすと,平川の烏帽子岳や錫山にも自然遊歩道があり,楽しくウォーキングができます。体を動かすと,心も解放されて,ストレス発散になります。写真を撮りながらでも楽しいですし,野の草花が好きな人は,道々の草花を探すのも楽しいです。手軽なレクリエーションですね。お子さんも一緒に歩くと,家の中でゲームに夢中になるよりもずっと健康的で,家族の絆も深まるでしょう。途中で食べられるようなおにぎりを準備すれば,お子さん達は大喜びすると思います。これらの遊歩道は,頂上付近には車でも行けますので,歩くのが苦手な人もリフレッシュできるのではないでしょうか。

 さて,最近1週間(4月7日~4月13日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは溶連菌感染症21人でした。次いで,インフルエンザ15人,感染性胃腸炎11人,咽頭結膜熱5人,水痘4人,RSウイルス感染症2人,突発性発疹1人でした。インフルエンザはそろそろ終息しそうな印象です。例年ですと,1日数人程度の患者さんがゴールデンウィークくらいまで続きます。その後はほとんどみられなくなりますので,もうしばらくは注意しておきましょう。今流行しているのはB型ですが,A型も混じっており,Bにかかったからもう大丈夫と安心せず,うがい・手洗いの励行をお願いします。

 溶連菌感染症は新学期が始まり,新しいお友達ができるこの季節に,いつも増加します。発熱とのどの痛みが主な症状で,周りに患者さんがいれば,かなり疑わしくなります。診断は迅速検査キットを使えるようになったため,簡単になりました。一方で,治療は抗生剤をしっかり服用しても,治療後に再発してきたり,何度も繰り返す人もいて,治療に苦労することがあります。再発の原因は,口の中の常在菌が影響して,抗生剤を効きにくくさせているという報告や不規則な服用が原因だという報告もあります。1週間正確に服用しても再発した場合は,服用期間を10日間~2週間に延ばしたり,抗生剤の種類を変えたりします。

 感染性胃腸炎は,今年ノロウイルスが流行したため,その影響が残って,この時期もまだ患者さんが多いです。嘔吐物の扱いやおむつを触った後の手洗いなど,あまり神経質になる必要はありませんが,周りに流行を拡大させないための努力は必要です。トイレの後の手洗いや食事前の手洗いは,普段からしっかり行うようにしたいものです。

 咽頭結膜熱(アデノウイルス感染症)は目やにが多く,高熱が4~5日間続く病気ですが,これからの季節に多くなります。アデノウイルスは感染力が強く,飛沫感染や接触感染で広がっていきます。治療薬は特になく,安静と水分補給などの対処療法のみです。この病気も迅速検査ができます。抗生剤で解熱しない時や,血液検査で強い炎症所見が認められた時などに検査をしています。水痘は長く流行が続いていますが,現在は患者数がかなり少なくなっています。水痘のワクチンを受けられる方が増えてきており,2回接種が必要であることも認知されてきたようで,多くの方が自費にもかかわらず受けられています。今年10月から水痘ワクチンを定期接種化することが決まっており,数年後は水痘が珍しい病気になっているかもしれません。

 

ゴールデンウィークは暦通りの診療体制になります。5月18日(日)は当番医を担当します。

サンタ通信No177(04)裏 H26.04.18発行

          夏カゼについて

 例年ですと,5月から6月にかけて夏カゼが出始めます。流行する前に一度,夏カゼについて勉強しておきましょう。一般に夏カゼというと,夏に流行するウイル

ス性のカゼのことですが,高温多湿の環境を好むエンテロウイルスとアデノウイルスが引き起こす感染症がこれに相当します。病名で挙げると,手足口病やヘルパン

ギーナ,咽頭結膜熱,ウイルス性発疹症などになります。エンテロウイルスというのは,エコーウイルス,コクサッキーウイルスの総称ですが,最近発見されたウイルスは,エコーとかコクサッキーの名前をつけずに,そのままエンテロウイルス68〜71,73と命名されています。エコーウイルスは2峰性の発熱を起こし,その後に頬やお尻に発疹が出てきます。「夏カゼによる発疹でしょう」と説明するのは,このエコーウイルスによるものが多いです。コクサッキーウイルスはタイプにより,ヘルパンギーナを起こしたり,手足口病になったりします。ヘルパンギーナは,のどの奥に口内疹がみられ,高熱が3日前後続きます。高熱とのどの痛みのため,水分や食事が摂れなくて,ぐったりすることがあります。手足口病はコクサッキーウイルスA16やエンテロウイルス71が主で,発熱はみられないことが多く,手と足に水疱ができ,口の中にも赤い粘膜疹がみられます。ヘルパンギーナも手足口病も6〜8月が好発時期で,いずれも,治療方法はなく,脱水にならないように水分をしっかり摂ることと,高熱できつそうにしている時は解熱剤を使い,休ませることくらいです。エンテロウイルス71の時は無菌性髄膜炎など,中枢神経系の病気を引き起こしやすく,このタイプの手足口病が流行している時には,特に注意が必要となります。これらのエンテロウイルスの病気は,出席停止に相当する病気ですが,ウイルスは便の中に長期間排出されるため,登校登園停止しても,流行は阻止できず,隔離の意味はあまりなく,本人の全身状態や病状に応じて休ませるようにしています。アデノウイルスについては,この通信の表にも書いていますが,39℃台の高熱が3〜5日間続き,のどの奥が赤く炎症を起こし,扁桃腺も白く膿が付いたようにみえます。アデノウイルスによる咽頭結膜熱は,解熱後2日経過するまでは登校登園停止が必要です。

           エコの作法

 「エコの作法」というテレビ番組で,曹洞宗の大本山である永平寺の修行僧たちが食べ物を大切に扱う様子を紹介していました。仏門の修行ですから,当然,肉や魚は食べません。朝は,お粥にたくあん,梅干しとごま塩だけです。お昼は麦飯に一汁一菜,夕食は一汁二菜と決められています。昼食と夕食には,野菜を中心とした精進料理が出されますが,料理を作る際に出る野菜のくず,大根の先っぽや白菜の固い芯などは捨てずに,袋に入れて,味噌汁のダシとして使い,ダシを取った後は,細かく刻んで,きんぴらやふりかけにしていました。大根の葉もおかずにします。ご飯はお粥を大鍋で作って,食べ終わると,鍋を洗いながら鍋にこびり付いたわずかなお米をへらで削ぎ落し,ざるに取って,それを毎日冷蔵庫でストックしながら,ある程度溜まったら,またお粥の材料にしていました。結局,食べ物で捨てる所はまったくありません。そこまで,食べ物を大切に扱うのは「植物も命あるもの。その命をいただくにあたって,ものを言わぬ生き物であるから,とりわけ大切に敬い,無駄を削ぎ落すことが,人間として心がけること。」という考え方でした。食事が終わった後は,食器にお湯を入れてもらい,おわんをきれいに洗いながら飲み干します。一滴の水も無駄にしません。また,昼食の麦飯は,7粒ずつを全員が差し出し,食べ物に恵まれないすべての存在を思い遣り,その食が届くように祈ります。この時集められた麦飯は,敷地内の野鳥たちに分け与えられます。日常生活のごく当たり前の食事の場が修行になっていて,自分が接しているすべてのものに感謝できるような豊かな感性,謙遜する心を育んでいくのだと感動しました。

 それにひきかえ,日本全国の食べ物を,賞味期限が過ぎたからとか,食べきれなかったからとかいう理由で,多くの食べ物が捨てられています。生ゴミとして出された食べ物は,きっと残念な気持ちだろうと思います。学校や幼稚園でも,食育が言われていますが,食べ物を粗末に扱わないこと,残さないような食事の摂り方,食べ物に対する感謝の気持ちが大切なのだと思います。お金さえ出せば,どんな食べ物でも手に入る世の中ですが,作った食べ物を廃棄する方が手っ取り早く,効率的なので,不要になった食べ物はどんどん捨てられます。それをどうしたら減らせるのか,効率第一の世の中から,少し不便になっても地球の為に優しい生き方をめざすような世の中になってほしいものだと思います。