サンタ通信No301(09)表 R6.09.18発行

強い台風でひと騒動

 台風10号が鹿児島県に強い勢力で上陸しましたが,皆様は被害はなかったでしょうか。サンタは停電が2日間続いたため,暴風雨で1日休診し,その後の停電でさらに2日休みました。停電からの復旧予定が見通せないとの理由で,予約されていた患者さんに毎日のように日程の変更をお願いしなければならず,スタッフは毎日勤務が必要でした。私は今回の停電で分かったことがありました。車庫が停電で動かず,車を外に出せなかったこと。エアコンが使えず,窓を開けて暑さに耐えたこと。電気温水器は停電時には水しか出なくなり,水風呂しか利用できなかったこと。全自動トイレは停電時には使えなくなること。冷蔵庫がただの箱になり,中のものをすべて廃棄しなければならなかったこと。パソコンでの作業ができず,仕事が滞ったこと。普段の生活の中で,いかに電気が欠かせないものなのかを実感しました。もし太陽光パネルを設置していたら,停電トラブルはそこまで大きくならずに済んだかもしれないですね。今回の停電1日目の夜に,病院の裏の家の明かりがつきました。「やった!すぐにここも電気が来る」と期待したのに,停電が続きました。結局100mくらい先の林の中で断線があったようで,翌日電線を張り替えて,その日の夕方にやっと電気が使えるようになりました。

 さて,最近1週間(9月9日~9月15日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのは手足口病で週6人でした。その他は,新型コロナ感染症2人,RSウイルス感染症1人,溶連菌感染症1人でした。夏休みが終わり,新学期に入って,感染症の流行は抑えられています。新型コロナ感染症もインフルエンザも患者数はかなり少なくなっています。当番医の報告を見ても,患者数が普段の半分くらいになっていますので,余裕のある外来になっています。10月に入ると,インフルエンザワクチン接種が始まりますので,これから冬に向かって,少しずつ忙しくなってくるものと考えています。これまで車庫で診察していた発熱外来を通常の診察室に戻しましたが,発熱している患者さんとそれ以外の患者さんを空間的,時間的にできる限り分けるようにして,診察しています。現在の患者数では,うまく院内の感染予防ができていると思われます。冬のインフルエンザやコロナの流行期には,病気をもらってしまうことがあるかもしれません。院内で診察を待つ場合は,なるべくマスクをしながら,座る場所も隣の人と近づき過ぎないように注意しましょう。

9月22〜25日は休診です。

10月は13日(日)と20日(日)が休診で,27日(日)は当番医になります。

11月は24日(日)が休診です。

 

サンタ通信No301(09)裏 R6.09.18発行

新しいインフルエンザワクチン

 インフルエンザワクチンの接種が10月から始まります。これまでの注射によるワクチンに加えて,弱毒生ワクチンを鼻腔内に噴霧するタイプのワクチンが認可されました。第一三共が製造販売するフルミスト点鼻液というワクチンで,接種対象は2〜19歳で,鼻腔内に左右1回ずつ噴霧します。効果は,このワクチンを接種した人と,接種しなかった人で,インフルエンザの発症割合をみると,接種した人では25.5%の人がインフルエンザを発症し,接種しなかった人では35.9%の人がインフルエンザを発症したという成績があります。相対的なインフルエンザにかかる危険性を28.8%減少しているということです。

 この鼻に噴霧するワクチンは注射と違い,痛みがないという利点がありますが,生ワクチンのため,接種後しばらくは鼻水や咳などのカゼ症状がみられることがあります。そして,接種後数週間はインフルエンザ迅速検査を受けると陽性に出てしまう可能性があります。また,噴霧する時に泣いてしまうと,涙が鼻に流れて効果が弱くなってしまうため,できるだけ噴霧する時に泣かないように工夫が必要です。さらに,ワクチンを受ける際に注意すべき点として,製品にゼラチンが含まれているので,ゼラチンアレルギーを引き起こす場合があるという点と,免疫機能に異常がある人や,同居する人に免疫不全の病気を持つ人がいる場合は,注意が必要です。今年は供給量が少なく,予約を受けた場合にキャンセルができないことや,効果や副反応を確認したいと考え,今シーズンは当院での接種は見送ることにしました。今年,日本中で使われると思いますので,効果と安全性を確認できたら,来シーズンはこのフルミストも準備したいと思います。

ダイビングも高齢化社会?

 私は70歳を超えてきましたが,まだダイビングを楽しめています。それでも真冬のダイビングは危なそうだと感じ,1〜3月は日本では潜らないようにして,お休みが取れた時には,セブ島など暖かい海で潜ってきました。もうしばらくは今のままダイビングを楽しめると思っていましたが,いつも潜らせてもらっているダイビングショップが今年で閉店することになってしまいました。オーナーが私と同じ年齢で,後継者がいないという理由からです。70歳というのは,客としてダイビングができても,ガイドとして毎日何本も潜り,お客さんにトラブルがあれば,体を張って救助しなければなりません。体力勝負の商売なので,70歳を超えてくると,きつくなるのだと思います。このサンタこどもクリニックとほぼ同じ開業25年でしたので,集まってくるダイバーも年々歳を重ねてきて,シニアダイバーが多くを占めてきていました。若い後継者がうまく育つと,店の若返りもできたのですが,コロナ禍でほとんどのダイビングショップが数年店を閉めることになり,どこも青色吐息になっていると思います。特に海外のリゾートで,フィリピンやタイ,バリ島など日本人が経営していたダイビングショップがコロナ前の状態に戻っていません。時を同じくして,20年通っていた理髪店も店を閉じてしまいました。ダイビングショップにしても,理髪店にしても,急に店を変えるのは大変です。ダイビングショプでは,この人はこれくらいの技術だから,今日はこのポイントで潜らせようとか,理髪店では,この人はこのカットが好みで,剃り負けしやすいから注意が必要とか,長年の経験が活かされます。病院も同じで,この子はカゼをひくとゼイゼイしやすいからこの薬を出しておこうとか,すぐに重症化しやすいから検査を早めにしておこうとか,その子に合った診療ができるのが,かかりつけ医です。日曜日に当院を受診されたお母さんから「今日からここをかかりつけ医にしたい」と言われたことがありました。これまでの診療の積み重ねを捨てて,新たな病院で最初からやり直すことは大変難しいことなのです。