すっかり初夏の気候になり,診療着も半袖になりました。現在,発熱外来を車庫で続けていますが,これからは次第に暑くなってきそうですし,コロナ感染症が5類に位置付けられ,通常診療に戻しても良い状況になっているのですが,多くの病院・診療所がまだ発熱患者に対して,診察場所を別にして,手袋やガウンを使用して診察しているようです。当院ではそろそろ通常外来での診察にしたいと考えています。発熱患者ではない場合はマスクも使わずに診察した方が,子どもとの意思疎通ができるのですが,さすがに病院を受診されるお子さんは何らかの症状があって受診しているため,私やスタッフが診察する時にはまだマスクは必要だろうと思っています。今年の夏くらいには,すべての患者さんの診察を通常の診察室で行い,発熱患者さんに対しては,マスクができる年齢の方にはマスク装着をご協力いただき,時間的・空間的な院内での区分けもできるだけ行いたいと考えています。当番医ではそのような配慮をする余裕がないため,すべての来院患者さんを発熱患者さんと考えて診療しています。反対に,発熱患者さんから離したい新生児や幼若乳児は逆隔離して,感染予防に務めています。
さて,最近1週間(5月10日~5月16日)の感染症情報です。1週間で最も多かったのはRSウイルス感染症と手足口病でともに週4人でした。その他は,溶連菌感染症2人,咽頭結膜熱1人,感染性胃腸炎1人,新型コロナ感染症1人,ヒトメタニューモウイルス感染症1人でした。インフルエンザの方はいませんでした。RSウイルスやヒトメタニューモウイルスなど,咳が強くなるウイルス性気管支炎が多くなっています。3歳以下の咳が強いお子さんの場合はこのようなウイルスによる感染症を疑って良いと思います。抗菌薬は使わずに,経過をみていますが,肺炎を合併したり,中耳炎を併発したりすると,抗菌薬が必要になります。発熱が続く時は,血液検査などで細菌感染を起こしていないか確かめることが必要です。
手足口病も増えてきました。夏カゼの代表ですので,これから夏にかけて増えてくるのではと思われます。口腔内の発疹はあまり目立たず,手足の発疹や肛門周囲に発疹が目立ちます。発熱はほとんどみられません。現在のところ,手足口病は大流行というほどではありません。ここ数年は大流行がなかったため,今後大流行する可能性はありますが,経過をみてゆくことが必要です。
5月30日は休診,26日は当番医です。
6月2日,17日,30日
7月1日,14日,21日は休診,7月15日は当番医です。
便秘は誰にでも起こります。便意を感じた時にしっかり出せるといいのですが,つい出しそびれてしまうと,次に便意を催すまでに便が大きくなり,硬くなって,出しにくくなってしまい,排便時に痛みを感じたり,出血したりします。子どもにも便秘の人は多いです。赤ちゃんの頃は母乳やミルクだけ飲んでいて,固形物を食べないので,便は泥状便になります。排便回数はおむつを替える度に便が出ている人もいれば,1週間に1回くらいの人もいて,個人差が大きいです。機嫌が良く,哺乳量も正常なら,何もする必要はありません。しかし,離乳食が始まると,話は違ってきます。便が次第に有形になってきます。そうすると,これまであまり力まなくても出ていた便が,力まないと出ないような状態になります。肛門の近くまで便塊が来ると,直腸粘膜が引き伸ばされ,便意を感じるようになります。便意を感じると人間は力んで出そうとします。小さなお子さんはまだうまく力むことができないため,お腹をマッサージしてあげたり,ご両親が一緒に力んで声かけをしてあげたりすると,それに合わせて,赤ちゃんも便を出そうとします。便が出た時には,よく褒めてあげてください。まだほめられる意味がわからなくても,親の笑顔で赤ちゃんは幸せになり,便を出す行為を次第に喜んでするようになります。親から褒められると子どもは次も力んで便を出そうとします。成功体験を繰り返し,排便の習慣ができてきます。
少し年齢が高くなると,便意を感じながらも時間がなくて排便を我慢したり,集団生活の中でトイレに行くのを冷やかされて我慢したりすると,便秘になって,排便時に痛みを伴うようになります。排便時に痛いと子どもはますます排便を我慢してしまいます。まずは便意を感じた時にしっかり排便する習慣をつけることと,朝食を摂った後に便意を感じることが多いので,朝は食事の後に時間的な余裕がある生活習慣を作ってあげることが大切です。
便秘がくせになってしまい,薬を使わないとコントロールできない場合もあります。排便時の痛みがないように,便を柔らかくする薬を中心に処方しますが,治療中に排便習慣がしっかりできて,薬なしで便を出せるようになる子もいれば,なかなか治らない子もいますが,あせらずにその子の排便習慣が育つのを待つことです。そしてうまく排便できた時によく褒めてあげることも忘れないようにしましょう。子どもは自分でできるようになるのが,とても嬉しいのです。